ラブストーリーより今を見ろ

私は、伯爵令嬢という個人的には要らない肩書の上に王家の血筋だった曾祖母の隔世遺伝で紫色の瞳、しかも「魔法」を操る「魔力」その値が平均の人の数十倍の力を持っていることが5年前の15歳の時に行われた魔力検査で判明した。測定した学者さんから「よく暴発せず生きてこれたね」と恐ろしい誉め言葉をいただいた。正直うれしくはない。この世界で、魔法は市民から王族までみんなが使える、属性も付加価値でついているが話がややこしくなるので、五大元素の相関図を思い浮べて頂いたら嬉しい。手間が省けるということで。私はその五大元素の水にあたる。属性的には中位なんだけど魔力の数値が異常ということで3年くらい研究所にほぼ軟禁されて検査されたんだけど、精神的に図太く楽観的なせい?おかげ?で特に暴発や危険性は無いということで晴れて社交界デビューってなったんだけど。


その検査中に私の魔力を使いこなす速度や技術力、抑圧能力の高さがいつのまにか研究所内で噂になりそれが国王陛下に伝わったらしく、2年の月日を経て私はほぼほぼ忘れかけていた案件で今国王陛下と謁見する羽目になっているというわけだ。



豊かな顎髭を蓄えた国王陛下は圧倒的な存在感にそぐわない柔らかいほほえみを浮べながら遥か彼方玉座から私を見下ろしている。

「ご機嫌いかがかね、エリッヂウッド伯爵嬢」

バリトンボイスは私好みなのだがいかんせん80の御年になられた国王に心のセンサーは浮かばない。

「エリッヂウッド伯爵嬢?」

「っ、申し訳ございません、少々緊張しておりまして。」

現実逃避で返事が遅れたようで、苦しい言い訳に国王陛下は朗らかに笑う。

「なに、叔母君のひ孫であるなら私の孫であるも同然、気を使わなくてもよい。」

…いや、無理だろう。励ましの言葉にしては少し苦しいです陛下!!

それで「ういーーっすwww、爺ちゃんよろしくっす~wwww」なんて言ったあかつきには側に控えている屈強な騎士の皆様の槍で首と体が今生の別れを告げることになる。


「それより、イザベラ嬢であったな。」


「はい、エリッヂウッド伯爵末の娘イザベラ・エリッヂウッドでございます。」

そういって淑女の礼をする。ほう、と感嘆のため息があちこちと聞こえるなら多分綺麗な礼が出来たのだろう。安心に胸をなで下ろし。国王陛下を見つめる。


「淑女としても礼儀がなっている、さすがである。そしてそなた、魔力の才能が類まれないという報告を受けている。」

「ありがたきお言葉です。確かにそのような言葉を研究所の皆様から貰っています。」

だからなんだ。こちとらその研究所から軟禁されたせいで行き遅れっぽくなって父上に迷惑かけてるんだからな。とは言えず微笑みながら答える。

若干過去に腹を立ててながら国王陛下の言葉を受け流していたが彼の口から衝撃的な言葉が聞こえた。


「そなた、魔法研究学校に入る気はないか?」


「…はい?」





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