彼のパートナーになりたい。

下まつげ

ラブストーリーは嵐のように

シェラハザール王国は、元祖魔女シェラハザールと彼女の魂の片割れで大天使のカミラの力によって創られた由緒ある王国で、この世界の全土6分の1を占めるとされる。私はそんな王国で伯爵令嬢という身分に産まれた。

イザベラ・エリッヂウッド、エリッヂウッド伯爵家の「華の三姉妹」の末っ子。

まず、前提として「華の三姉妹」が何なのかを説明しておくと、エリッヂウッドはシェラハザールの美を象徴するとまで言われるほど顔面偏差値が高い、そのうえ前伯爵(私のおじいちゃん)が貿易にとっても優れた人だったから没落しかけだなんて言われたエリッヂウッド家を一代で立て直し今や国の財政を半分握ってるって噂されている(そんなことない)。そのエリッヂウッド家に産まれた3姉妹は各々が国民の夢と希望を詰め合わせたような美貌を持っている。


長女メアリーは艶やかなミルクティー色のゆるふわな髪の毛をもち、透けるように白い肌、輝く琥珀色の瞳、柔らかそうな小さい薄桃の唇、まるでおとぎ話のなかのお姫さまを具現化させたような容姿。その美貌で社交界を湧き立たせた。

今は隣国の伯爵の息子と結婚し、母親そっくりな美貌の赤ん坊を産んだ。


次女アメリアは父上ゆずりの真っ赤な髪の毛と琥珀をはめ込んだような猫目を彩る艶やかな長いまつげ、ぽってりとした赤い唇と陶器のような肌、長女と似通った可愛らしさを持ち合わせながら凛とした美しさをもち、気の強そうな容姿とは裏腹に孤児の保護や貧民の制度改正に力を入れるなどの行いから市民からは容姿にちなんで「ローゼマリア(薔薇の聖母)」と言われている。



そして、末の私、イザベラ。自分で自分の評価を思うのは大分恥ずかしいが親友曰く母上譲りの艶やかな黒髪と王家の血筋の象徴「紫」の瞳は朝露に濡れた菖蒲のように艶やか。少女と女の真ん中、清純な雰囲気と危うい色気をもち薄ピンクの唇に微笑みを湛え、現在アメリアと共に社交界の花として注目を浴びているらしい。


え、なにこの羞恥プレイ。自分の中の認識と周りからの認識の差に泣きそうなんだけど。危うい色気って何、微笑みを湛えって当たり前でしょう、小さいころからスパルタ執事にどんな時も笑顔でいるようにって修行をうけてきたんだから、並大抵(舐めるような視線)のことじゃ私の鉄壁スマイルは崩せなくてよ。


いま私がすべきことは回想でも自己紹介でもなんでもなく、目の前の事案にどう対処するか、だ。


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