生きたい。今は、やりたい事がある、出逢いたい誰かがいる。

「赤い髪の青年」に攫われ異界へと連れてこられた少女が、自分の役割を知り、それを受け入れがたく感じて葛藤し、受け入れようにも方法が分からず、もがくように道を模索する物語。

彼女を迎えた世界は決して優しくはなく、そこに住む者たちも厳しかったり辛辣だったりと、千晴の境遇に気持ちを寄せてくれるわけではありません。
そんな中でも千晴は、相手を理解し会話を重ね、自分にできることを探すことで歩み寄ろうと頑張っていく。その過程は、結構かなり凄絶。

千晴だけでなく、他の賢竜たちや、千晴と関わる人々も、割と容赦ない運命を背負いつつ生き様を模索しています。それがしっかり描かれており、心を揺さぶられます。
誰かが誰かと出逢うことで、救われたり、心のあり方に影響を受けたり。そういう繊細な部分を丁寧に描こうとしているのがとても好感です。

果たして千晴は、理不尽とも言えるおのれの運命を受け止められるのか……?
是非、物語を読んで見届けて欲しいです。

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