ありふれた情事の後で、我々の青春は群像なのかと手首を眺める。

大人に成りたかった少女と、大人に成ったつもりでいた少年の織り成す陰鬱な青春の1コマ。短編ですから詳細は省きますが、わずか4000字強の中で二人の対比が見事に描かれています。

誰もが通り過ぎた昼下がりの寂寞。セックスの意味も快楽も、いつだって後付けに過ぎなかったのだと再確認させられるようでした。

二人はまるで、これから昇る月とやがて沈む太陽。
爽やかさを予感させる導入部分から一転する物語を、お楽しみあれ。