最終回 永久に続く





聞こえてくる声も誰のだか分からない……ただ私の呼ぶ声だけが聞こえる…あの声は誰だっけ…?私は何のために賞金稼ぎになったんだっけ…?



ー数年前ー


『お父さん…お母さん…どうして…何でこんなことに…!』


『私は賞金稼ぎになります。両親を殺した奴に復讐する!!』




あぁ…確か両親が賞金稼ぎに殺されて私はそいつに復讐するためになったんだ…結局、復讐する奴の顔も分からぬまま死ぬのかな……


『……スズーーー!!ミスズーー!!』


あの声…サノウ?何で私、一番の幼馴染みのこと忘れていたんだろう…そうだ、私はまだここで死ぬわけにはいかない!数年前…約束したから!!


『何かあったときは私が全力であなたを守る。』












守るって約束した…だから…だから!!














「はっ…」

『ミスズ!!良かった!無事で…』

「私はまだ死んでない。まだ少し…戦える。」

『分かった…俺もすぐそっちに向かうよ!』

「……ありがとう。」

通信を切り、刀を杖代わりにしてのろのろと立ち上がる。倒す目標はちょうど今その場から去ろうとしていた。

「…ほう、まだ生きてたか。」

「私はこんなところで死ねない!!守るべき人との時間のために!!」

「喋る気力はあるようだが、お前の体は風前の灯火だ…すぐに息の根を止めてやる。」

バッ!!

リーフェンの動きは依然として変わらない。分身が発生するほどのスピード…どちらかが残像なら、これで見極められる!

「フロート!」

ボフッ!!

その場にあった地面の砂を浮かせて二人のリーフェンの方へとかける。

シュン…

「……!片方の分身が…」

今だ。分身が消えて同様している間に一気に叩き込む!!

シュバッ!!バシュバシュバシュ!!

「くっ…!!」

効いている!いくら耐久性が高くてもラッシュをかけられれば耐久も落ちる。

「もう分身は通用しないか。ならば、接近で畳み掛ける!!」

「手の内を明かしていいのかしら?」

キン!!

前のように防いでもダメだ…これじゃ刀が折れるのも時間の問題…

「ハァ!!」

奴の拳が直撃する前に…うなじに刀の峰部分を当てれば!

ガトンッ!!

「ぐお……!」

ここが勝負!これでっ!!

ザシュザシュザシュ!!!

「なん…だと…」

一度離れ、居合いの構えを取る。次の一撃で完全に勝負が決まる…お互いにどちらが先に動くかを待ちわびる…





「……!!」

「ウォォォォォォ!!!」

「はぁぁぁぁぁぁ!!!」

ガキンッ!!!!








「ふ……刀は長ければ長いほど脆くなるが……」

パキパキパキ…

「切れ味は増す……な……」

パリン!!!

リーフェンが最後の言葉を残したと同時に桜雨の刀身が割れて砕け散る。リーフェンは強者と戦えたのが良かったのか安らかな笑みを浮かべ、息絶えた。

「はぁ……はぁ……」

もう、動けない…疲れなのか戦いのダメージなのか分からないが私もその場で倒れる。目を閉じる間際、優しい手を差し伸べられたのが記憶にある………


ーコンテナ倉庫ー


「ん……」

目を開けるといつものコンテナ倉庫にいた。ゆっくり起き上がると体が包帯で巻かれ、右目もさっきの戦いで失明してたのか眼帯がされている。

「お帰り。ミスズ…」

「あ、えっと…ただいま…」

恐らくサノウが助けに来てくれたのだろう。彼には大いに感謝しなきゃ…

「血だらけで倒れてたから一時はびっくりしたけど、息はあったから助かった。あとちょっとでも遅れてたら大惨事だったよ。」

「その…ありがとう…色々と。」

「俺の方こそいつもミスズに助けてもらって…こっちがありがとうだよ。」

約束したからね…それじゃなければ約束破ったことになっちゃうから。

「ふふ…ありがとうね。私の命の恩人。」

ちゅっ。

「…!!」

頬にキスしたら物凄い顔赤くしちゃって。久々にちょっと笑ったかもしれない。

「そういや、桜雨…あれ刀身が折れちゃって…」

「それなら心配ないよ。こんなこともあろうかと強度を倍にした桜雨を治しておいたからね!」

サノウから治したての桜雨を手に取り、試しに鞘からゆっくり引き抜く。

カチャ…

よく見ると刀身の表面に桜の模様が描かれている。桜雨の名により相応しい刀になった。

「また一緒に戦えるんだね。桜雨。」

「はは…ミスズと桜雨はいつも一緒だね。まるで姉妹みたいにね。」

「この刀は私が賞金稼ぎになったときからずっと使ってる…だから私にとっては家族みたいなものなの。」

「気に入ってもらえて、俺も嬉しいよ。」



ー数ヵ月後ー



怪我から完全に回復した私はまた賞金稼ぎとしての仕事を再開した。新しい桜雨と共に…

「へぇー…あんたが仮面の賞金稼ぎとかいう女?」

私より少し年上の女の賞金稼ぎが言う。だが私はもう仮面を着けない。今はサノウから貰った眼帯がある。

「仮面なんてとっくに昔のことよ。もう仮面は着けないわ。さぁ…あなたはどう出るの?」

完。




たった3話でしたがありがとうございました!完結を迎えることが出来たことを嬉しく思います!また、私の次回作にご期待下さい!(作者)

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賞金稼ぎの仮面少女 Next @Trex

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