不審死
六地蔵
不審死
都内のマンションの駐車場で男性が変死した。警察の調べにより、ある女性の部屋のベランダからの落下死であることがわかった。
しかし、その女性にはまるで心当たりがなかった。死亡推定時刻には寝ていたし、そもそも亡くなった男性とは面識がない。警察の聴取もうけたが、別段強く疑われているような気もしない。少し気持ちが悪かったが、普段どおりの生活を続けた。
ほどなくして、隣の部屋の男性が逮捕された。真相はこうだ。
隣人男性は、彼女に懸想をしていた。だから毎夜、ベランダを仕切る壁を超え、彼女の部屋のベランダに立ち、寝ずの番をしていたのだ。
そこに、不審者があらわれた。一階から、彼女の部屋を目指して、各階のベランダをつたい、登ってくる。それに気付いた隣人男性は、番人としての役目を果たす。つまり、不審者を突き落とした。
話自体はここで終わりだが、ひとつ知っておくべきことがある。
それは、ベランダの仕切りを乗り越えるのは容易いということだ。やろうと思えば誰にでもできる。それをしないと信頼できるほど、あなたは隣人のことを知っているだろうか。
無根拠な信頼というものは、危ない。
不審死 六地蔵 @goyaningen
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