魔術

犬井作

著者:久夛良木静(くたらぎしずか)

「『標本集』を燃やしておくれ」

 羽生犀星さいせいはベッドの側に座っていたわたしの腕を掴んで念を押した。

 誰にも知られてはいけない。誰にも見られてはいけない。必ず一人でやり通すんだ。

「僕は君を、名誉ある殺人者に選ぶのだ」

 声音に執念が満ちていた。なんとしても、わたしに手を下してほしいようだった。

 わたしはあのとき、なんと返事をしただろうか。

 覚えていることは、皺の寄っていた眉間から力が抜けたこと。羽生はわたしの答えを聞いて、とても安心したようだった。ベッドにもたれかかると、羽生は、十五年前と変わらない、小憎たらしい印象を与える笑顔を浮かべた。普段どおりのえくぼと一緒に、病室の蛍光灯が、ぞっとする陰影を浮かび上がらせた。

 その日が彼と言葉を交わした最後になった。

 一週間後、羽生犀生は亡くなった。

 そしてわたしは約束通り、この手で「標本集」を火にくべた。羽生が彼自身の手で作成した、この世に二つとない本が――世に知られぬままだった詩人の唯一の天才の証明が、この世から喪われた。


 ◇


「標本集」は蝶に関する詩集である。また、本の形をとった羽生自身、とも言える。

 羽生がわたしに抹殺させたこの本は、製本工程のすべてが彼一人の手によって成されている。結果、その細部に渡るまで羽生の息遣いが反映されている。調和が取れた混沌――羽生の詩が与えた印象は、そのまま「標本集」の印象に重なる。

 そのインクの総量のためだろうか、単行本と同じ大きさだというのに手に取るとずっしりした重さを感じられる。

 表紙は一見すると色彩鮮やかなモザイクだ。しかし顔を近づければ、それらはすべて、小指の爪ほどのサイズの蝶だということがわかるだろう。無数の、翅を広げた蝶が、彼の言葉により留められている。

 ページを繰り、扉の題字と対面したらすぐ作品だ。「標本集」には目次も遊び紙もない。上部に筆記体で横書きされた題名には、一つの重複もない。orpho didus,Morpho helena, Morpho hecuba ……モルフォ属の蝶から始まり、合計二万点の詩が収録されている。

 この数字は現在知られている蝶の種類の総数に一致する。表紙と収録物からもわかる通り、彼はこの詩集で、すべての蝶を網羅した。

 それだけではない。

 羽生は縦書き横書きの形式もその都度選択し、縦横無尽に言語を駆使して、詩を構築した。収録されている詩の多くは日本語で詠まれているものの、確認しできた限りでもドイツ語、フランス語、ロシア語、英語、エスペラント語。現在用いられている言語のみならず、線文字Bやナバホの砂絵、果ては羽生自身が発明したと思われる人工言語まで使用されていた。

 それだと言うのに、どのページを捲っても、見たこともないはずの蝶の姿が克明に、視界に浮かび上がる。

 それは留まり、数を増やし、一つとして重複のない蝶たちは、その存在を訴える。穏やかな飛翔――あるいは滑空によって。

 それは「標本集」という題が示す意味を正確に表現している。

 すなわち羽生が、蝶のイデアを――各種の蝶、その形を象る塩基配列で指定された各形質が示す理想図そのもの――を言語化し、詩として、標本することに成功したことを。

 「標本集」は最後にして最高の、羽生の魔術の結晶だった。


 ◇


 羽生と出会ったのは高校生の頃だ。彼は一年前にわたしが部誌に寄稿した小説を読んで、詩作を始めたと語った。彼は入部の際、それを記した大学ノートを持ってきた。

 一読して、既存の詩とは異質であることを理解した。あまりにもイメージ喚起力が強かった。まるでそこに実在するかのように、あらゆる観念が、風景が、脳裏に再生された。

 羽生は、自分には他人の想像力を利用して幻想を現実にする能力があると語った。彼はそれを「魔術」と呼んだ。

「僕は、人の認識に作用しているんだ」

 羽生は、言葉が生み出すイメージが当事者たちの認識において実在できるようになる場を組み上げるのだ、と語った。それは妹を喜ばせるために言葉遊びをしているうち発見した技法だったそうだ。

 一旦そうした場を組み上げると、羽生と、「魔術」に囚われた対象は、言葉そのものが持つイメージを現実のものとして、その空間上に実在していないにもかかわらず、認識できるようになる。

 羽生ははじめその制御に戸惑ったそうだ。個々人が抱く単語へのイメージは異なるので、単に「犬」とだけ発音してもバセットハウンドを即座に連想する人もいれば、グレート・デーンを連想する人もいる。一通りのイメージを実在させないと、体験は共有されない(羽生には妹と同じ体験をする必要があった)。

 解決策を考えつくのにそう時間はかからなかった。羽生は、文脈の利用に思い至った。

 「青い蝶」は青色の印象を与える蝶を指定する。「青い翅を持った蝶」は翅が青い蝶を指定する。このような単純な段階から出発した羽生は、次第にレトリックを用いて複数の要素を一度に指定できることを発見した。

 文によるイメージの指定が段落によるものに、そして作品の総体によるものに発展するまでそう時間はかからなかったそうだ。

 それが詩作においても影響を与えた、と彼は結んだ。

 わたしは驚嘆や畏敬より先に、感動に取り憑かれた。わたしの肯定を受けて、羽生も隠すべきものだと思わなくなったのだろう。彼は度々、わたしにも魔術を仕掛けるようになった。

 例えば、猛暑の日のことだ。

 わたしたち部室で弁当を食べていた。エアコンも扇風機も故障していたため窓を全開にしても蒸し暑かった。はタオルで拭った端から汗が吹き出た。

 羽生は食べ終わるやいなや、フローリングに突っ伏して唸り声を上げた。

「暑い」

「殺人的だ」

「扇風機でも持参するべきだった」

「今すぐ涼しくならないか」

 わたしの言葉を聞いて、羽生がニヤリと笑った。準備が整ったのだと気がついた。

「鯨」羽生は言った。KUJIRAという音のなにかがトリガーになった。「彼が海を呼んでくれる」

 潮風が吹いた。

 わたしは瞬きすると、コンクリートの天井に残像のように重なり合った藍色と、射し込む光を受ける青ざめた肌を見た。そのときは、息苦しかった。羽生がリズムをとるように、指を鳴らした。そのたび、自然とまばたきした。穏やかな上昇感を伴いながら、次第に意識が鮮明になった。そして気がつくとわたしたちは、コンクリート製の孤島にいて、四方に空よりも深い海原の青が広がっていた。

 思わず立ち上がったわたしは、視界の先に、海中からゆっくりと近づき、大きさを増す影を見た。

 大きな円錐の先端が、飛沫を撒きながら飛び出した。

 それは空中で半回転して、その白い腹を、その全身に刻まれた無数の生の痕跡を、ゆっくりとわたしに見せつけた。そのシロナガスクジラの巨体は天にも届きそうな勢いで海上に躍り出ると、次第に減速し、背を反らした姿勢のままわたしたちの前で動きを止めた。

 羽生が定義した世界においては、それがありえた。彼の指定した言葉の法則により、鯨がここに実在し始めた。まばゆい太陽を背にその輪郭を輝かせる巨体に、その圧倒的というほかない雄姿に、わたしは息を呑んだ。

 羽生は、挑むような目つきでわたしを見ていた。これはゲームなのだと、そのとき思い出した。

 ちょっと考えたあと、こう続けた。

「蝶みたい」

 傷痕が無数の蝶に変わり、肌の表面で舞い始める。スクリーンに投影された映像のように、白と紺の肌の上をゆらゆら飛び交う。まだ足りない。もう一つ言葉が必要だった。わたしは自然と続けていた。

「飛び上がる。空に、わたしたちを連れて」

 蝶がぐっと力を入れたようにみえた。

 鯨の肌に切れ目が入り、剥がれ落ちるようにして、蝶が舞い上がる。カラスアゲハのエメラルドの翅が、光を浴びて、その赤と青白い模様を輝かせる。コムラサキの青い輝きが混ざり合う。クロヒカゲの翅の斑紋が光の中、大きな目をいくつも穿つ。

 羽生は嬉しそうに笑っていた。わたしの視線を認めると、こちらに向けて小憎たらしい印象を与える、笑顔を向けた。それが、彼の最上級の喜びの表現だった。


 わたしたちは言葉を連ね、沸き起こるイメージで遊んだ。ちょっとした会話が美しい詩の世界に変わった。そうしていつしか、ほとんどの時間を共有するようになった。わたしと彼が、無二の親友となるのに時間はかからなかった。


 ◇


 詩は、詞、すなわち儀式としての表現から出発している。(…)ここにおける詞とは、脳容量の発達によって人類の先祖が認識することに成功した彼岸に対して此岸より働きかける手段を意味する。科学以前、人類は現代でいうオカルティズムによって世界に働きかけた。祈祷、占い、雨乞いなど――それらの最も原始的な形態が詞である。彼岸というものを歌声や言語によって具体化し、共有する技術を持つ人々によって運用された。(…)詩は現実を異なる側面から見つめる技法でもある。(…)わたしは詩によって、人々に、わたしが認識する世界を植え付けている。

――羽生犀生「詩の起源 及び彼岸の発明」(未発表)


 ◇


 羽生の魔術は、他人の想像力を刺激する形で成立する幻想である。しかしそれゆえに、喚起させるイメージを完璧に固定できない弱点もあった。わたしとの言葉遊びでさえ、ときどきイメージのズレが致命的な破綻につながった。紙面に記された言葉は、彼の表現が持つ本来の豊かさに比べれば、悲惨なものだった。彼はそれが不満だった。彼は年々、音によって幻想を紡ぐだけの自分に虚しさを覚えるようになっていった。

「僕は、真に生きた言葉を生み出してない」

 イメージをゆらぎなく表現し、時空間に実在させる。それが羽生が目指した極地であり、詞の再発見を必要とした理由だった。

 プラトンは、現実界に存在する物質や概念はすべて真に実在するものの影に過ぎず、その真に実在するものは天上界に存在すると考えた。それはイデアと呼ばれた。わたしたちが一つとして同じものがないはずの個物をそれぞれ分類し判別できるのは魂がイデアを記憶しているからである、とされている。

 羽生は、イデア界が存在すると仮定すれば己の目論見はうまくいくのではないかと思い至った。

 イデアと全く等しいイメージを人々に与えることができれば、ゆらぎのない表現を実在させることができる。人々の認識の間に幻想として存在するものを、実在させることができる。彼はイデアと寸分たがわぬイメージを表現することができれば、誰の認識においても全く同質なイメージを喚起させ、実在させることができると考えた。そして、そうすることで自身の表現が虚構ではない、永遠の実在を達成できるのだ、と。

 その手段が詞だった。羽生は詞を、人間の側から世界に働きかける技法だと捉えていた。自然界の法則に作用することができるなら、イデアの完璧な模倣、すなわち現実界におけるイデアの再生を実現できると。

 自然の摂理に反するその試みは不可能にも思えた。だが彼は、成功した。蝶のイデアを網羅し、標本した。

 わたしが日本語であっても、未知の言語であっても「標本集」に記述された内容を理解できたのも羽生の記述はわたしの魂が記憶したイデアの記憶を想起させたためであり、わたしが標本集を燃やさなければならないと理解したのもそのためだった。

 イデアは魂が記憶した個物である。人間界にある言葉は、どうやってもイデアの影に過ぎない。書き記されたり、印字された言葉はそれが現実界の物質であるがゆえに読み手の認識によって異なる印象を与える。

 紙面に刻まれた表現は、紙面におけるレイアウトやインクの種類、紙それ自身が経た時間経過など、多くの不純物を含んでしまう。

 イデアが魂が記憶した真の実在であるなら、彼の魂とその記憶を紙面に刻みつければよい。

 どのような手段でそれを実行したのかはわからない。だが、羽生は己の魂をイデアを留めるピンにした、ということは、わたしにはわかった。

 羽生犀生の魂を開放するためには、この本をこの世から消し去るしかなかった。

 

 ◇

 

 標本集の保管場所は彼から事前に伝えられていた。訃報を受けて、わたしはすぐに回収した。そしてその日が羽生の命日である間に、指定された場所に向かった。

 N県の山中にある開けた土地、縄文時代に建設されたとされる祭壇の跡地だと、そこは言い伝えられていた。かつて羽生と訪れた場所を、彼は自分の魂の火葬場として指定した。

 そこには色とりどりの花が敷き詰められていた。胡蝶蘭、菊、彼岸花……銀色の月明かりに照らされた花弁は炎のような光を放っている。用意されていたのか、それとも偶然こうなったのか、わたしにはわからなかった。だがそれが、蝶を呼ぶだろうと直感した。

 わたしは歩を進め、中央まで進んだところで足を止めた。懐から「標本集」を取り出した。別れの前に、全体を一通り流し読んだ。

 文字の一つ一つが、紙に定着したインクによって縛られているように思えた。表紙の蝶たちが蠢いているように見えたのは、月明かりが見せた錯覚だろうか。

 さあ、早く解放してやろう。

 マッチを取り出し、火をつけた。立ち上る炎を本の先端に近づけると、一瞬で燃え移った。紙が収縮して、ちりちりと焦げていく。しかし不思議なことに熱を感じず、次第に甘い香りが漂ってきた。

 わたしは左手で、本の半ばを開いたまま親指で押さえていた。だから印刷された文字を炎が呑み込んでしばらくして、様子が変化したことに気がついた。

 驚いて、わたしは思わず声を上げた。

 紙面に定着していたはずのインクが、うっすら浮きだした。ぐずりと、あるべき形を失ってまとまりに変わったと思うと、魚のように紙面を泳ぎ、炎の中に溶けていった。

 黒い塊は鯉が滝を登るように先端に移っていった。そして空気に触れた途端膨らみ、切れ目が入った。規則正しく分裂が進行し、数えきれない割球となった。そしてみるみるうちに成長し、変形し――蝶が、炎から産まれ落ちた。

 はじめはモルフォ蝶、次はアゲハチョウ、モンシロチョウ……一匹、また一匹と舞い上がっていく。翅から鱗粉がこぼれ、月光にきらめく。見覚えがあるような気がした。

 静かな炎はその間も「標本集」を侵食し、ついにその全体を覆った。すると炎が、ぶるっと震えた。まだ終わらないと合図したようだった。

 木々がざわめいた。足元で花々が回転しながら浮き上がった。風が吹き始めた。

 蝶たちの羽ばたきを受けたのか、旋風は勢いをつけ、花々がわたしに押し寄せてきた。強い風が、わたしの手の中から「標本集」を奪い去った。空中で脆くなった綴紐が解け、バラバラになった。そして鱗粉が引火した。

 世界が炎に包まれた。上昇気流で花々が舞い上がり、散り散りになる。

 いまや暴風となった旋風の中を蝶たちが悠然と泳ぐ。炎を纏いながら、羽ばたき、また風を生み出し、仲間を増やす。

 色彩が乱舞していた。万華鏡の中に閉じ込められたように原色がわたしを貫いた。蝶たちの細い脚が、柔らかい胴が、大きな翅が、わたしを取り囲み、押し寄せ、包みこむ。

 わたしは溺れていた。蝶たちをかき分けて隙間を作り、息をつこうと口を開いた。

 次の瞬間、蝶がわたしの中に飛び込んできた。二万匹が押し寄せた。蝶たちは一点にめがけて、わたしの中を突き進んだ。

 涙が出た。

 お腹がとても熱くなった。

 なにかが流し込まれていた。

 こみ上げる悪寒に耐えきれずわたしは絶叫した、つもりだった。

 わたしの喉は、わたしの知覚に反して、穏やかに言葉を発していた。

 

「ひらひらと

 上下し

 ときに風に押し止められながら、

 燃えていく

 死に向かう

 力強いはためき――」


 彼の――羽生犀星の、声で。

 


 ◇


 葬儀は身内だけで済まされた。孤児院から一緒だった彼の義理の妹と、彼らを引き取った両親。彼らの好意により、わたしも同席を許された。羽生は、小憎たらしい笑顔を薄っすら浮かべて、棺の中に横たわっていた。ただはっきりと、そこに羽生がいないことだけが、わたしに伝わった。わたしは思わず涙を流していたが、どうして泣いたのか、わからなかった。ふと顔をあげると、羽生の妹がわたしの顔を見ていた。視線が合うと、彼女は頷いた。それで、彼女はなにもかもを了解していたと、そう思った。


 その日からしばらく、わたしは何も書けなかった。具体的に文章を練り上げることができなかった。日に日に症状は悪化し、過去自分が書いたものの意味が読み取れなくなった。

 異変に気づいたわたしは締切が近い原稿もなにもかも放って休業することにした。編集者に簡潔に事情を説明して、謝罪して、返事を待たず電話を切った。仕事上の信頼も、継続の危機にあっては二の次だった。

 わたしはベッドに横たわり、彼との思い出に耽った。昼も夜も、すべての時間をかけて、彼と共有した時間をできる限り再生した。眠る間もわたしは彼と会い続けた。わたしは夜ごと羽生の夢を見た。彼は蝶を伴いながら、大きな鯨となって、天空を遊弋していた。星一つない暗黒の中で彼は淡く輝いていた。わたしは彼の白い腹を、地上から見上げていた。

 数日して、夢の中で彼がなにかを発していることに気づいた。うねりのような低い音だった。それが羽生の言葉だと思ってから、わたしの中から、かつて経験したこともない質量を伴って、語として区別されない、言葉の原型のようなものが湧き上がってきた。

 それから、意味の通らない言葉が無数に沸き起こっては消えていく日々が続いた。聞いたことも読んだこともない言語、言語ですらない図や記号のようなものまでがわたしの内で溢れかえった。病に冒されたわけでもないのに、わたしはベッドから起き上がることすらできなかった。必死の思いで水分補給はできたが、それが精一杯だった。

 そして、変化は前触れなく訪れた。

 ある夜、夢で、羽生に伴う蝶が一匹、わたしのもとにやってきた。その翌朝、言葉が一つ、わたしの内部に再生された。

 それが繰り返された。

 少しずつ、言葉がわたしのもとへ舞い戻ってきた。夢で、次第に羽生とわたしとの距離が近づいていった。夢の中でわたしは彼になにかを伝えようとしていた。それが何だったのか、今では思い出せない。

 蝶がいなくなった日の夢で、わたしはもう空に羽生を見つけることはできなくなっていた。翌日、わたしの中にあった混沌は、整然とした体系を獲得していた。

 わたしはまた書けるようになった。

 だが書きはじめてすぐに違和感を覚えた。そこには、わたしではない誰かの痕跡が見いだせた。それが誰なのか、腹部の熱を感じるまでもなく、わかりきっていた。

 彼が求めた永遠の正体に気がついて、わたしは、その不器用さに、思わず笑ってしまった。

 出会ったときからずっと、本当の意味で、一つになりたかっただけだったのだ。

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