NGワードさん(仮)(仮)

にぽっくめいきんぐ

第1話

「俺を怒らせたな!」

 つんつんとした髪の男・碇が言った。


 碇の攻撃力がアップする。


「ぐおお?」

 フードをかぶった、失言者団体の頭目が、ついに後退を始めた。


「碇くんが。碇くんが押してる……。さっきまで、あんなに追い込まれていたのに」

 広員ひろいんさんが解説者気味に言う。


「碇にとってのNGワードを、頭目が言ったからな」

 ヒゲを生やした師匠が言う。


「どれだったの?」

 と、ヒロイン。


「『沈む』というキーワードが、今日の碇のパワーアップワードなんじゃ。ラッキーアイテムは花瓶。」


「そんな、今日の占いみたいな!」

 ヒロインがツッコむ。


「うおおおお! トドメだ!」

 碇が跳躍。敵の頭目を追い込もうとするが……。


「まずいな……」

 と、師匠が苦笑い。


 碇は失速。

 失言者団体の頭目に、難なく弾き飛ばされた。


「何があったの!」

 と驚く、解説ポジションのヒロインに、師匠ポジのお爺さんが言った。


「碇にとって、魚系の言葉は、今日のパワーダウンワードなんじゃよ。アンラッキーアイテムは花瓶」


 ヒロインは、マスオさんばりに驚いた。

「どっちも花瓶なの?!」


 師匠はヒゲをいとおしそうに触りながら言った。

「丸い花瓶がラッキーアイテム。角ばった花瓶がアンラッキーアイテムじゃよ」


「じゃあ、碇くんのあの花瓶はどっちなの!?」



 碇が右手に武器として構える花瓶は……。


 そもそも花瓶ではなく、ルビンの壺だったのだ。

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