24・エンド 君がいたことで
久野は死体の上に立っていた。血液はしたたり、エドは顔を拭いている
「助かった」
「これが仕事だからね」
多数は誰も彼を相手にしていなかった。それよりも、久野は自身の将来に目を向けている。
ケヴィンに言われたことが気がかりだった。自分らしい生き方を模索すると言うこと。
皆の恨みを俺が受け持ち、最後に倒される。それが久野の考える正しいことだと考えていた。
「俺の人生か」
久野は間違った道を歩いていると、自覚している。そのうえで、兄貴からぬくもりを与えられた。彼は腕を組む。
「あっ、イシグロ」
エドが指を指していた。その方向に目を移動する。迷彩色の服を着た男性が、久野へ歩幅大きく接近していた。
「お前、やすらぎ施設を壊した奴だよな」
「……」
久野は運命を嘲り、余力で黒い糸を武器にする。それに対して、イシグロも武器を構えた。
それが久野の最後だった。
▼
「弔いは終わったの?」
小春は男性に話しかけた。二人は布団の上で白色の天井を穴が空くほど見ていた。
「終わった。俺は俺の人生を過ごすっても何をすればいいか分からないな」
「あ、ちょうどいいのがあるよ」
小春は上半身を起こして、彼を揺らす。やおら立ち上がって、二人はベットから身体を離した。
「記録屋の弟子が欲しいんだよね」
「へ?」
「エドと話していたら知ったんだけど」
エドは記録屋ができる起源を話したようだ。といっても、一説に過ぎないと冒頭に加える。
記録屋とは、元はカウンセリング療法と機械の両者からアプローチしたものらしく、主に戦争へ向かう人達に声かけしたらしい。
「おかしくない?」
私は過去を塗り替えてやりたいと宣言する。
ケヴィンは苦笑して、彼女の弟子になると決めた。そこから、自分らしさを探せばいいかとぼんやりと未来を見た。
振り向かずに歩いていくだけ 鍍金 紫陽花(めっき あじさい) @kirokuyou
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