24・エンド 君がいたことで

 久野は死体の上に立っていた。血液はしたたり、エドは顔を拭いている



「助かった」


「これが仕事だからね」



 多数は誰も彼を相手にしていなかった。それよりも、久野は自身の将来に目を向けている。



ケヴィンに言われたことが気がかりだった。自分らしい生き方を模索すると言うこと。


皆の恨みを俺が受け持ち、最後に倒される。それが久野の考える正しいことだと考えていた。



「俺の人生か」



 久野は間違った道を歩いていると、自覚している。そのうえで、兄貴からぬくもりを与えられた。彼は腕を組む。



「あっ、イシグロ」



 エドが指を指していた。その方向に目を移動する。迷彩色の服を着た男性が、久野へ歩幅大きく接近していた。



「お前、やすらぎ施設を壊した奴だよな」


「……」



 久野は運命を嘲り、余力で黒い糸を武器にする。それに対して、イシグロも武器を構えた。



 それが久野の最後だった。





「弔いは終わったの?」



 小春は男性に話しかけた。二人は布団の上で白色の天井を穴が空くほど見ていた。



「終わった。俺は俺の人生を過ごすっても何をすればいいか分からないな」


「あ、ちょうどいいのがあるよ」



小春は上半身を起こして、彼を揺らす。やおら立ち上がって、二人はベットから身体を離した。



「記録屋の弟子が欲しいんだよね」


「へ?」


「エドと話していたら知ったんだけど」



エドは記録屋ができる起源を話したようだ。といっても、一説に過ぎないと冒頭に加える。


 記録屋とは、元はカウンセリング療法と機械の両者からアプローチしたものらしく、主に戦争へ向かう人達に声かけしたらしい。



「おかしくない?」



 私は過去を塗り替えてやりたいと宣言する。


 ケヴィンは苦笑して、彼女の弟子になると決めた。そこから、自分らしさを探せばいいかとぼんやりと未来を見た。

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振り向かずに歩いていくだけ 鍍金 紫陽花(めっき あじさい) @kirokuyou

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