第5話 - クリスタルクイーン

まるで時が止まったようだった。一瞬でジャックの後ろに彼女が移動した。


「な…なんだと…!?」


ジャックが慌てふためく。


「残念だなぁ?ジャックさん?自慢の能力が封じられた気持ちは???なぁ?」

「…ヨノにゃん?」


そこにいたのはとてもヨノアとは思えなかった。

ユウはユキが言ったことを思い出す。


『あなたはヨノ姉の裏の顔を知らないでしょ?あいつ、いろいろ混ざってるんだよ。』

(まさかこれがヨノにゃんの本性…?)

「…お前、ヨノ姉じゃないな?」


いきなりユキが言った。


「…やッぱりアなたの勘ハ鋭いでスね、ユキ。」

「うっわ。その片言の喋り方…お前まさか…」


ユキは露骨に嫌そうな顔をする。

ヨノアはおもむろにネコミミに手を伸ばすと、いきなりそれを引っ張った。

何と、ネコミミは簡単に取れてしまった。


「「「!?」」」


よく見ると、それはネコミミカチューシャだったのである。


「こノカチューシャは主ノ発明品です。かブると主そっくリに変身出来るノです!」


そこにいたのは水色の長髪の少女だった。ピエロのような格好で、右太ももにヨノアのシンボルの≪にやける猫悪魔≫がある。


「やっぱりお前か…マリオネッタ…」

「えエ、ボクです!主かラそのクズ野郎ノ始末をするヨうに言われたのデす。」


マリオネッタがジャックを指さしながら言った。


「なんだと…?」


ジャックは明らかに馬鹿にした目でマリオネッタを見た。


「てめぇみたいなガキが、この俺に─────」

「うるせぇ」


ジャックが言い終わる前にマリオネッタは笑みを浮かべながらもう片方の腕を切り落とした。


(タメ口だと流暢に話せるんだ…)

ユウはそのことを言ってはいけない気がしたので口には出さなかった。


くそがあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


ジャックは両腕をなくしても諦めずにマリオネッタに蹴りを入れてきた。

しかし、マリオネッタはそれを難なくかわした。


「しぶといじゃねぇか。じゃあこれでどうだ?」


マリオネッタが言うと部屋が急に寒くなってきた。


「ボクの能力ハ≪結晶姫クリスタルクイーン≫。温度を操ルことがでキる能力でス」


マリオネッタが話している間にもジャックが少しずつ凍っていく。


「てめえらなんかに俺が負けてたまるか…!!」


ジャックが叫ぶと肩から小型のピストルが音もなく出てきて、ユキに向かって発砲された。

弾丸はユキの胸を貫いた。


「…!!ユキさン!」


マリオネッタは急いでユキに近づいた。

ユキは仰向けに倒れ、溶けて真っ黒な水たまりになった。

それを見たマリオネッタはにやりと笑った。

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クリエイターズワールド ~世界の支配者~ ヨノア Yonoa @yonoa

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