第2話 - ヨノアの秘密
「さてと…」
ヨノアが行ったあと、ユウはシェアハウスの鉄板付きキッチンにいた。
「ん?これは…」
キッチンのカウンターにはメモとオレンジ色の液体の入った瓶が置いてあった。
『ユータにゃんが欲しがっていたスイートチリソースです。頑張って作ってみました。感想を教えてください。
ヨノア』
「おお…作ってきてくれたのか。どれどれ…」
ユウはチリソースをなめた。
このソースはスイートチリソースだがそれでもチリソースだ。普通に唐辛子が材料に使われている。
「辛いっ!」
ユウは急いで冷蔵庫を開けた。
「ん?」
冷蔵庫の中にはメモと緑茶が入っていた。
『ユータにゃんは多分僕の特性チリソース(唐辛子多め)をなめて辛すぎて飲み物を探しているのでしょうから、これを置いていきます。
ヨノア』
「ありがたくいただくとしよう。」
ユウは緑茶を一気飲みした。
「苦いっ!」
…緑茶はものすごく苦かった。
ユウはもう一度メモを確認し、裏側に何か書いてあることに気付いた。
『P.S.この緑茶は品種改良で普通の緑茶より苦くなっています。ご了承ください(笑)
ヨノア』
「…感想教えなくてもいいんじゃね?」
ユウはヨノアにいつか仕返しすることを誓った。
───────────
ふたばとの特訓を終えて、ヨノアは自分の家のとある部屋にいた。
どこからか、オルゴールが聞こえてくる…
「…きゃはは♪」
その部屋の入口にユキが音もなく立っている。
「どうかしましたか、ユキ?」
ユキがジト目でヨノアを見た。
「あまり興奮するなよ。ちゃんと目を閉じろ。誰かが転移してきたらどうする?」
ヨノアの両目は開いていた。
「別にいいじゃないですか。どうせみんなこのことを証明できませんし。」
「何言ってんだ、このドアホ!」
ユキはヨノアの頭をぽかんと叩いた。
しかし、「ぽかん」という音からは想像もできない衝撃波が床をボコボコに破壊した。
「…痛い。」
ヨノアは頭を抱えて涙目になった。
「落ち着いたか?」
「はい。」
「ならよし。」
ヨノアはさっさと壊れた床を直し、部屋から出て行った。
「どこ行くんだ?」
「少し興奮しすぎてしまいましたので、お風呂に入って着替えてきます。」
「そうか。」
「一緒に入りますか?」
「遠慮するよ。」
「そうですかー」
ユキもヨノアの後に続いて、部屋を出ていく。
「では夕ご飯を作っておいてください。」
「私が作ると全部肉になるが、いいのか?」
「別にいいですよ。今日はお肉気分でしたし。ただ、野菜をちゃんと入れてくださいね。」
「はいはい、わーったよ。」
二人が出ていった後の部屋には、もう一人少女がいた。その身体の半分は肉片の塊に埋もれていた。
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