番外編

第1回

『ホモゾンビが現れた! リーチェの先制攻撃!』


「燃えろ、終焉なる炎! 死の業火デス・ヴァーミリオン!」


「あぎゃああああああああああああああああああああああああっ!?」


『ホモゾンビを倒した! ショウヤたちは29の経験値と24ギルトを得た』


『変な宗教への勧誘者が現れた! リーチェの先制攻撃!』


「すべてを腐食する魔の剣戟! 朽蝕の剣ロッド・ブレイズ!」


「うわあああああああっ、からだが、からだがっああああああっ!?」


『変な宗教への勧誘者を倒した! ショウヤたちは10の経験値と14ギルトを得た』


『変態×4が現れた! リーチェの先制攻撃!』


「魔へと誘う深淵の刃! 魔界の滅剣ヘル・テンペスト!」


「ぎゃあああああああああああああああああああああああああっ!?」


『変態×4を倒した! ショウヤたちは80の経験値と変態の全財産×4を得た』


 旅の道中。

 エンカウントする魔物どもをすべて一撃で葬るリーチェ。

 そんな彼女に支えられながら、俺は広大な草原を進んでいく。


「ふぅ……やっぱりこの辺りは魔物が多いね」


 その大群をひとりでなぎ倒すリーチェさんマジパネェす。


「っか、あんな大技ばっかり使っていてバテないのか?」


「大丈夫だよ。私普通の人とはちょっと違った鍛え方をされているから」


 さすが暗殺者。

 どういう教育を施されているんだか。


「というかリーチェっていまステータスどんくらいなんだ?」


「私? う~ん、中くらいかな」


「……一般の指標がよくわからないからそういわれても納得できないんですが」


「それなら直接見せちゃった方が早いね。はい!」


 そういって自分のスマホを差し出してくるリーチェ。

 ステータス画面を表示される。

 名前:リーチェ・シグトゥーナ

 レベル:26

 職業:暗殺者アサシン

 武器:―切り裂きジャック・ザ・リッパー(両手剣)

 攻撃力:147

 防御力:78

 素早さ:123

 知力:49

 運の良さ:40

 習得スキル:6

 習得魔法:0

 魔力値:中


「お、おう……」


 なんともツッコミづらいステータスだった。

 というかあの巨大カッター両手剣に分類されているんだ。

 強いといえば強いのだが、暗殺者といえば当然なステータスが伸び、それ以外が低い。

 職業の特徴をよく表したステータスそのものだ。

 ひとつだけ確実なのは、いまの俺では間違いなく負けるということだ。

 勇者とバレた日には、死待ったなしだなこれ……。


「習得スキルをタップすれば覚えているスキルの説明も載ってるよ」


「へぇ~そうやって覚えたスキルを確認するんだ」


 せっかくなのでリーチェの習得スキルをチェックする。


 ・虚無の絶華インフェルノブレイブ(両手剣スキル)

 ・暗黒無剣ダークマター(両手剣スキル)

 ・地獄の墜雷ヘル・ライトニング

 ・死の業火デス・ヴァーミリオン(両手剣スキル)

 ・朽蝕の剣ロッド・ブレイズ(両手剣スキル)

 ・魔界の滅剣ヘル・テンペスト(両手剣スキル)


「スキル名をタップすればそのスキルの説明も見られるよ」


「おぉ、ほんとだ! すげぇ‼」


 虚無の絶華インフェルノブレイブ

 消費魔力:小

 攻撃範囲:単体

 斬りつけた相手を無に帰す剣技。

 発動時所有者の周囲には黒い花が咲く。


 暗黒無剣ダークマター

 消費魔力:小

 攻撃範囲:単体

 敵のいる空間を直接切断することでダメージを与える剣技。

 使用者は移動することがないので遠距離攻撃に分類される。


 地獄の墜雷ヘル・ライトニング

 消費魔力:中

 攻撃範囲:全体

 地獄より呼び寄せた雷を剣へと付与し、それを一気に薙ぎ払い敵を打つ剣技。

 地獄にある雷のためその色は黒い。


 死の業火デス・ヴァーミリオン

 消費魔力:小

 攻撃範囲:単体

 魔力によって生成した黒炎を刀身に宿し敵を斬りつける。

 斬りつけられた敵は炎に焼かれ、しばらくの間炎によるダメージを受ける。


 朽蝕の剣ロッド・ブレイズ

 消費魔力:極小

 攻撃範囲:単体

 剣に腐食属性の魔力を宿し、敵を斬りつける。

 斬りつけられた魔物は腐り、朽ち果てる。

 人間には効果がない。


 魔界の滅剣ヘル・テンペスト

 消費魔力:小

 攻撃範囲:全体

 暗黒の瘴気を剣へと宿し、敵全体を薙ぎ払う剣技。

 稀に相手を呪い、行動不能にする。

 

「どれも強そうな技だな……」


 ほんと、正体がバレるのが怖くなってきた。


「えへへ、厳しい修行を積み重ねた結果だよ」


 無垢な少女らしく、素直に照れ喜ぶリーチェ。

 なんかこういう表情されると、ほんと暗殺者には見えないんだけどなぁ。

 ……普通に、可愛いし。


「はい、私のプロフィール公開タイムはここまで」


 つい惚けてしまっていた俺の手からリーチェのスマホが奪われる。


「早くしないと日が暮れちゃうよ? 急ごっ!」


 そのまま、草原を駆けだしていくリーチェ。

 畜生、俺の命を狙っている暗殺者じゃなかったら、速攻アタックしてたのに! 

 なんか自分の運命を嘆きたくなってきた。


 そんな悲しみを刻む、旅の道中であった。

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RPG風な異世界物語に夢見ちゃいけません! ゆ〜ぽん @yu-pon

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