たった三文字で日常が壊れていく……

大学生の大丸が、知人とのラインのやりとりでいつの間にか送っていた「まがま」というメッセージ。
本人に送った覚えはないし、そもそも言葉の意味すらわからない。最初はこの出来事に困惑するばかりの大丸だったが同じ現象が何度も繰り返され、しかも真剣な話をしているときにばかり送られるものだから、周囲との人間関係もどんどん悪化していき……。

自分の知らぬ間に他の誰かが自分に成り代わっている。というシチュエーションはホラーでは古典的なアイデアである。
しかし、本作はそこにラインという現代の身近なツールと、「まがま」という意味は分からないが不気味な気配のする言葉を組み合わせた点が新しく、そして面白い。何なんだよ「まがま」って……。

これがただの不条理な恐怖で終わらず、読み進めるうちに「まがま」に隠されたある法則性が浮かび上がるというミステリー的な構成も楽しく、それでいてホラーらしい読後感を残すオチも綺麗に決まっている。
『世にも奇妙な物語』みたいな話が好きな人には間違いなくおすすめの短編です。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=柿崎 憲)

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