エピローグ
あれから一週間後――。
「お母さん、いってきまーす」
「いってらっしゃーい♪ 車に気をつけてねぇ~」
「ニクキュウがいるからだいじょうぶぅ~」
家を出たボクとお姉ちゃん、葉月は、庭で寝ていたニクキュウの背中にまたがり、「ニクキュウ、ゴー!」と言った。
「くぅ~ん!」
ニクキュウはクマとは思えないかわいらしい
「うわーい! うわーい! 気持ちいい~!」
「葉月。しっかりつかまってなきゃダメだよ? 振り落とされちゃうからね?」
お姉ちゃんがそう注意すると、
ここのところ葉月はご
「まさか、クマを飼える日が来るとは思わなかったなぁ~。
「や、やめてよ、お姉ちゃん。ボク、別になにもしていないし……」
「なに言ってんのよ。かわいさで世界最凶のクマを
ニクキュウは、ボクになついた後、お母さん、お姉ちゃん、葉月、それに
「これは、おそらく、
なにはともあれ、ずいぶんとおとなしくなったので、街を歩かせても人におそいかかる
ただ、ウシミツドキ国王(ノイローゼで日本の病院に入院中。たぶん、ボクのせい)や校長先生などのニクキュウがかわいくないと思う
あと、ギネスにはちゃんと
ちなみに、タタリ王子は、いまでもボクたちの学校の生徒として日本に残っている。わが家
しかも、タタリ王子だけでなく、今日から彼女までボクたちの学校に転校することになったのだ――。
「ええとぉ~。またまたウラメシヤ王国からの転校生がうちのクラスの仲間に加わることになりましたぁ~」
朝のホームルームの時間、ミイちゃん先生がそう言うと、ガラガラと教室の戸が開いて一人の少女が入って来た。
「タタリ王子のボディーガード、カナ・シバリともうします! 現在、王子に
女子の制服を着たカナちゃんは、とってもかわいかった。
いきなりクラスのみんなの前で
「ノゾムさん。あなたに背中を押してもらったおかげで、勇気を出すことができました。これからは、自分をいつわることなく王子にアタックしていきたいと思います!」
「がんばってね、カナちゃん!」
彼女には本当にがんばってもらいたい。カナちゃんとタタリ王子が両想いになったら、僕はタタリ王子から
「か、カナには悪いが、オレにはノゾミというフィアンセが……」
「ボクはタタリ王子と
「ぐっ……今日も相変わらずオレだけに冷たいんだな。だが、そういうところもかわいい。……しかし、なぜ女子の制服を着なくなったんだ? あんなにかわいかったのに」
「そりゃ、
ボクはもうこの国のトップシークレットでもなんでもない。ごくごく
「たのむ! たまにでいいからまた女装をしてくれ!」
「そ、そんなことを言われてもなぁ~……」
タタリ王子はボクに「女子の服を着ろ」としつこく
「はぁ~……。もう一度でいいから、女装したノゾムくんと
「
「ま、マジ⁉
織目さんと水野さん、どんどん深みにはまっているような気が……。
「な、なあ、俊介。水野さんがボクたちをモデルにした小説を書いているらしいけど……」
「ん? 別にいいじゃないか。オレたちの熱い友情が小説になるなんて、おもしろそうだ。オレも読みたい」
ダメだ、俊介はぜんぜんわかっていない……!
ボクが頭をかかえていると、
「の……ノゾムくん。あ、あのね。今度の日曜日、いっしょにケーキ屋さんに出かけませんか? 女の子同士で来店したらケーキが
う、うう……。姫乃ちゃんに上目づかいでそんなお願いをされたら、
タタリ王子のリクエストで「ノゾミちゃん」になるのは嫌だけど、姫乃ちゃんのためならまた女装しようかな?
「あんた。人生初のデートで、女装する気?」
お姉ちゃんにそうからかわれるかもだけど、別にいいよね。
だって、「かわいければすべて良し」っていうことわざもあるでしょ?
え? それを言うなら「終わり良ければすべて良し」だって? おっかしいなぁ~……。
了
最後までご覧いただき、誠にありがとうございます!
初めて書いた「女装ものラブコメ」でしたが、いかがでしたでしょうか……?
感想等ございましたら、コメント欄や私の近況ノートにぜひぜひお書きこみください。作者が泣いて喜びます(≧▽≦)
また別の作品でお会いいたしましょう~!
彼女(?)はトップシークレット! 青星明良 @naduki-akira
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