テンポとリズムでついた勢い、雰囲気がもたらすスピード感で、迫力の戦闘シーン、また恐ろしい秘密が明かされるシーンに緊張感が走っています。
スキルやジョブといったシステムも、JPRGに親しんだ人ならば、すんなりと受け入れられるはずです。
しかしストーリーは、最近のファミレス風の味付けがされたJRPGとは対局の、ハードなダークファンタジー。
毒です。しかし毒を持つ花ほど、美しいのは、現実と同じ。
いうなれば極彩色の闇が、私の頭を支配しました。
そこを征くのは、心に勇気という灯火を持つBHたち。
展開はハード、雰囲気はダーク…しかしBHたちの輝きは、だからこそ眩しく、読者の心を引きつけて止まない魅力となり、ここにあります。
Loon……それは不可視のエネルギー源。
それの発見に人類が歓喜したのもつかの間、それの恐るべき弊害により、人類は窮地に立たされることになった。
Loonは生物に悪影響を与え、状況によっては異形に変質させてしまう。
そうして生まれたと考えられる生命体、MEは人類の生存圏を脅かしていた。
それの対応を行うお役所、特区管理局の局員、浅日宗一は地方特区のME駆除に派遣される。作業員のツナギのようなそれに加えて携えたのは、一振りの剣。
相手は、ゴブリンの群れ。だが、その状況に彼は違和感を覚える。
同時に、発見される女性の不審死の死体。
得体の知れないゴブリンの動き、そして無数のゴブリン――。
想像以上に根の深いMEの存在に、宗一は一時撤退。応援を要請すると共に、体勢を立て直し、事件の収拾を図る。
だがその間にも、それはこの地区の存続を脅かす危機へと発展しつつあった。
彼は、MEを駆除できるのか。
疾走感と時折コメディ、緩急ついた物語の流れでさくさく読み進められる。
個性的な仲間たちと窮地を切り抜けていく宗一もまた、個性的で少し鈍感で
憎めない性格をしている。
公務員的な勇者が繰り広げる現代バトルファンタジー。
強烈なインパクトでした。まだ、多くの謎が明らかにされていませんが、世界はLoonに影響を受け始めています。今は特区という枠組みで区切られている中。その枠組みはエリアではありません。者、物。そして、Loonを感知するこの出来る人間をBraveHeart(通称BH)と呼んでます。それはミュータントエネミー(ME)を狩るものでもあります。
そして、BHとMEの関係に共通するLoon。それは間違いなく増えていく。
舞台は近未来日本。
何かがあって、こうなっている。
まだ序章に近い感じだが、一気に人類の生存をかけた物語になる予感がします。ある女王の誕生で。
どうする人類。
望みの綱はBHと呼ばれる人達。その中で特別な力を秘めている主人公がどうやっていくのか。
さあ、ここからは自分の目で確かめてください。この物語が放つ、生命が感じる恐怖と希望を。