4 しろたしろみ


 しろくまちゃーん。


 なぁに、しろくまくーん。


 今日もかわいいねー。


 うふ、ありがと。そうゆうあなたはカッコイ……。イ?(もごもご)

 ああ、かごにおやつをもってきたわよ。


 おいしそうだな、小魚チップス。

 ところで、この長くてぷるんぷるんしてるのは?


 ギョニソっていう、人間のおやつらしいわよ。

 ああ、いや、それは靴下だったかしら。


 それはね、ニーソ。かわいい女の子がひざまでの……。


 ああ。(めんどくさそうに)その情報はいいやー。つかみはオッケー。



 ところで、しろみちゃん。

 ぼくらはこの手でお魚つかむでしょー。

 人間ってやつらは、「つり」ってもんをするらしいよ。


 ツリー? クリスマスのきらきらの?


 えっと、それはちゃうかな。

 しろみちゃん、どこでそういうこと、仕入れてくるの?


 絵本の中にはたくさんの世界があるのよ。

 しろくま図書館で、こんど一緒にながめましょう。

 しろたんも、もうちょっと世間を知った方がいいわ。


 ほぉーい。崖っぷちに建ってる、あの三角屋根のことだね。


 行くまでにちょっと命がけなのが、困りものよね。

 この前しろすけが溺れて、大騒ぎになったの。



 それで、つりのことだけど。


 あ、それ、わかったわ。

 人間はお買い物すると、かならず「おつり」をもらうんですって。

 金や銀や銅の色した、まぁるいの。すてきよね。


 それ、うちの父ちゃんが首から下げてるやつかなぁ。


 あれはメダル。しろくま選手権の優勝のでしょ。もっと小さいの。

 しかもね、「つりはいらねぇ」って言うのがカッコイイんだって。

 やせがまんする生き物よねー、人間って。


 なんだか、だんだんお魚と関係なくなっちゃった。


 どっかで聞いたセリフね。



 人間はお魚をどうやって捕まえるのかな。


 あ、そういえば、前にきた人間たちはね、

 氷にまぁるい穴をあけて、そこの前で何時間も座っていたの。

「わかさぎつり」とか、言ってたわね。


 それだ、きっとそれだよ。長い糸をたらして待ってると

 お魚がぱくって、気まぐれに食いつくらしいよ。


 その秘密の糸がほしいわね。魔法かしら。


 手に入れたら、いっぱいしろみちゃんにプレゼントするね。


 私はやっぱり、「わかさぎツリー」がいいわ。

 木にいっぱい、わかさぎが吊り下げられてるなんて、ハッピーだもの。




 しろたでーす。


 しろみでーす。


 2匹合わせて、しろくましろくまでーす。


 そこは、「しろたしろみ」でしょー。



(今日もあの二匹、氷上の漫才やってくれましたね。)


(やっぱり「釣り」の時には、あの芸に限るね。お、引いてるぞ。)






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