スパイ生活!

九の字

第1話 俺、スパイ始めます。

 俺の名前は綾示あやし 杉夜すぎや。大学生をやっていた。

 やっていたというのは、俺が今、異世界にいるということが物語っている!そう!俺は異世界転生に成功した!説明すれば長くなるが、簡単に言ってしまえば不慮の事故を装って死んだのだ。ここまではいい。俺がスポーンしたのはこの国の王様の娘の自室、つまりお姫様の部屋だったのだ!こんなの聞いてねーよ!そうして俺は速攻お姫様(綺麗だったが俺好みではなかった。主に胸が)に見つかり、逃げたが約30秒で捕えられ、牢屋に放り込まれた。今ここ。っと、誰か来た。

「怪しい奴、貴様の処罰が決定した。」

 どうやら刑が確定したらしい。

「貴様は我らがクルーラル帝国第一王女、ミューセリア・クルーラル様のお部屋に侵入した。よって貴様を2日後の明朝をもって、処刑する。以上だ。」

 マジっすか、俺転生してすぐ処刑されるんか。急激に血の気が引いていく。俺、どうなるんだ・・・?


 気づいたら朝か。牢屋なのに外が見えるな~。とはいっても青空しか見えんな。ん?誰か来る。

 め、メイドだ!?すげぇ初めて見た!!しかも巨乳でジト目とかドストライクッ!!!

「・・・し、釈放する。出ろ。」

「へ??」

 ガッツポーズ取っていると釈放と言われた。処刑は??

「貴殿に話がある。付いてこい。」

 そう言って牢屋を開けてツカツカと歩いていってしまう。追いかけねば。


 ークルーラル帝国西塔2Fー


「そこに座ってくれ。重要な話がある。」

「ずいぶんと丁寧だな。」

 促され高級なイスに付く。するとメイドから釈放された理由を聞かされる。

「貴殿、姫様の自室に潜伏していたそうだな?何者だ?」

 そりゃあ何者って元大学生よ。通じるわけねぇけど。けどここは・・・

「・・・すいません。俺、自分の名前以外覚えてないんですよ。」

 メイドの目が見開く。

「そう…か。だが、これから上層部の者からのお言葉がある。よく聞いておけ。」

 一枚の紙を取り出す。まさかとんでもない任務とか与えられたりしないよね?

「貴殿は厳重に警備された姫様の自室に潜伏した。その抜きんでた隠密能力、我らに力を貸してほしい。」

 マジか。スポーン地点がそこだっただけなんだが。

「もちろん貴殿に拒否権はない。早速任務を説明する。」

 あぁ、とんでもない任務の予感。

「アージル帝国大臣、アバーラ・ドルゲンを監視、目的を突き止めよ。」

 俺の、スパイ生活の始まりだった。

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