第5話 ヒトミとの再会(最終話)

イヌが言う。

「どうなって?」

「何の真似だ」

と僕はマイコに言う。

僕もイヌも状況が掴みきれない。マイコは言う。

「本当に、そんなことで平和になるとでも、思っているのですか、貴方は」

僕は複雑な表情をしながら、

「なるさ。止めるなら、お前を倒す」

マイコは決意に満ちた目で言う。

「聖なる力で……。貴方を狩ります」

激闘は続く、技と技の。イヌは困惑している。

「僕はどうすればいいんだ」

マイコ言い放つ。

「進化の果てには、破滅しかないのです」

「マイコ、本気で僕に勝てると思っているのか、お前は?」

「はい」

激闘は更に続く。イヌは悟った、

「僕はこの戦いを見守る。きっと、それほど重要なものなのだ」

僕は言う。

「これが聖なる力!」

マリアも二人の戦いを見守る。

「私はもう、何も言いません。信じています、理を」

ほぼ互角の戦い。僕は思う。

「僕は何と戦っているんだ?」

進化ともうひとつ、それは何か。僕は考える、そして気付く。

「そうか、そうだったのか」

しかし、すでにマイコのロボットは大破している。

「マイコ!」

僕は叫ぶ。イヌは沈黙している。

「……」

僕はロボットから降り、マイコを必死で探す。マイコの声が聞こえる、

「私の負けですね」

「いや、僕の負けだ」

そう、ひとつになることで、進化の力で、人々は個性がなくなるのだ。プライバシーの影響も。何故気付かなかったのだろう。退化の中に人本来の力がある。その研究、進化と退化の両立、それを僕は目指そうと思う。

マイコの命の火が消えかかっている。マイコが言う。

「これでいいのです」

僕は言う。

「最後まで反抗的な目をしてやがる」

マイコが言う。

「最後にひとついいですか?」

「ああ」

「広いこの世界の理の中で、再び貴方を必ず見つけます。その時は、そんな目が出来なくなるぐらい、わたしをあなた色に染めて下さい」

「……」

「では」

という言葉を残して、マイコの命の火は消えた。僕はイヌに問いかける。

「なあイヌよ、続きがあったんだけどな。それを言ったら、あいつ怒るよな」

イヌが答える。

「僕に振るんですか。フフッ。僕に言えることはただ一つ、思いっきり怒られちゃって下さい」

そんな目をしたあいつが好きだった。僕は理の中で待っている。本当の平和が、僕の力だけで訪れることはないだろう。でも、きずなの力を、人の本来の力を、信じている。僕はやれることをやる。その目を再び見られる日まで……。(完)

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死者を狩る者 大槻有哉 @yuyaotsuki

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