第4話 死者を狩る者

サトルは死後の世界に目覚める。そして自分に問いかける、

「私は間違っていたのか?」

何処からか、謎の声がする。

「いいえ、理に従うだけ」

「マリア……」

マリアは、死後の世界にやって来た。それが聖母と言われる由縁。普通の人には出来ない。サトルは言う。

「私は事を悪化させただけ……」

マリアは素っ気なく言う。

「それも理」

サトルは自分を責める。

「償うことも出来ない」

マリアは、そんなサトルに微笑みかける。

「心を狩ることは出来ません。貴方を待っています」

「待っている?」

「はい」

「まだ、世界は終わっていない? 霊体に出来ることは何もない。私は何も……」

マリアがそれを遮って続ける。

「持っています、大切なものを」

「でも、私のしたことは……」

またもやマリアが続ける、

「その中で手に入れた大切なもの。貴方しか持っていないものを」

サトルは、キルもそこにいることに気付く。キルは力強く言う、

「サトル、来い! 俺達には間違っていようがいまいが、する事はまだある。俺はお前を尊敬していた、心の何処かで……」

マリアは精一杯の笑顔で言う、

「行ってきなさいサトル、心の集う場所へ。私は待っています、世界の理の何処かで」

サトルは言う。

「見つけてみせるさ」

「フフ、暫しの別れを」

ある日、僕は力を入れて言う。

「最終決戦だ!」

マイコは

「大丈夫なんですか?」

と言いつつ、僕を信頼してくれている。

「どうなるんでしょう」

と、イヌ。

「最も単純なものだ」

と、僕は答える。

「単純ですか?」

と二人。そして三人は最後の地へ。

そこでは、カクとキョウが戦っていた。カクは絶望の表情で、

「バカな、バカな、バカな……」

と言う。キョウは少しうつむき、

「俺は強い。また俺は……」

と言う。如何なる技も、圧倒的な力の前では意味を持たない。

カクはキョウにあっさり狩られる。僕は言う。

「キョウ、お前を倒して終わりにする!」

キョウは言う。

「俺はまた強くなった。悪になった」

しかし、キョウは何かに脅えている。僕は言う。

「二人とも、行くぞ」

「はい」

遂に三機は合体する。二機合体の百倍以上のパワーだ。僕は言う。

「これが進化だ」

技Aの応酬。力と力の単純な戦い。キョウは自らに問いかける、

「俺は何を求める?」

僕はそれに答えるかのように、

「お前は、力の裏で孤独を感じている」

と言う。キョウは答える。

「孤独? ならば、俺はこの世界を……」

僕は悲しそうな顔をして、

「忘れてしまったんだな、大切な人達を」

マイコがポツリと言う。

「大切な人……」

キョウは狂ったように言う。

「誰も俺を受け入れない」

「……。これが恐かった人? 今は恐くない」

と、イヌが驚いている。

力と力の戦いは、世界を壊していく。その時、キョウは最大の力を使った、世界が吹き飛びそうになるほどの。僕は言う。

「終わった。僕達の負けだ」

そう、遂にマリアの結界は破られたのだ。マリアが言う。

「終わってなどいません。マイコよ、私を越えて……」

僕は言う。

「進化の力で分離するぞ!」

三機は分かれた。壊れゆく世界の中、人々はどうなるのだろうか。イヌが言う。

「これでは火力不足です」

キョウに、ダメージをほとんど与えられない。しかし、これ以上世界を壊す力は使うべきでない、キョウは再び最大の力を使おうとしている。僕は、

「終わってたまるか。進化の力で」

と言う。キョウは

「無理だ。この世界は……」

「終わらない」

何者かが言った。

サトルだ。大切なもの、それは絆、部下達との。心の集う場所。それは多くを狩ったキョウを中に。キョウの顔が歪む。

「動けない……」

きずなの力がキョウを弱める。きずなは狩れない。心の集う場所にいるみんなが言う。

「やれーっ!」

三機はキョウにエネルギーを集中させる。そして、遂にキョウは倒れる。

その時マイコは光り輝く。聖なる力に目覚めた。マイコは祈るように、

「キョウよ……。この広い世界の理の中で、大切な人達と再び出会うがいい」

キョウは決意に満ちた口調で、

「今度は間違えない」

と言って消えていく。

僕は肩の荷が下りたように言う。

「終わった、二人とも。これで人々の心は共有されひとつに……」

その時、ザンッ、と音がする。

「何だと?」

何が起きたのだろうか? マイコは僕に刃を向ける。後にいう死者を狩る者とは、彼女のことだったのだ。マイコは不敵に笑う。

「フフフフフ」

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