第5話 砂漠のカマキリはとってもつよい
「うわぁぁぁあああ!!!」
「いやおい逃げるな!そいつならお前レベルでも弱点さえ叩けば何とかなる奴だから!!」
いや無理でしょ!?
後ろから追いかけてくるデザートカマキリはスフィンクスほど大きくないにしても僕と同じくらいの背丈がある。
砂漠の色と同化した表皮に、二つの大きなカマ。しかしカマキリと言うには足がまるでラビット種のモンスターと似てバネのようになっている。
これで一気に数メートルの距離を軽々と飛んでくるのだ。
もはや逃げられているのも奇跡と言っていい。
「なんでわざわざこんな危ないルートから進んだんですか!?」
「お前さんよく考えてみろよ、俺みたいなのからしたらゴブリンもこいつもたいした違いなんてあるまいに」
「それにちょっと危ない道を通りたいって言ったのはお前さんだぞ?」
それは『楽なルートを通ってもいいが、冒険者になるならある程度のモンスターを倒せるようになっておいたほうがいいだろう。
何だったら俺が指導してやるからちょっと歯応えのあるルートを通るか?』
みたいな聞き方をされたからだ!こんな多分C級くらいのモンスターと戦うなんて聞いてない!!
もふもふしながらいつの間にか寝てしまった僕は、なんの因果かこのスフィンクスさんと一緒に都市ラリアルアを共に目指すことになった。
なんでも行きたい場所が都市の近くにあるんだとかなんだとか。
尻尾は忙しなく動いてたし、耳もパタパタしていて妙だったけど、たぶんそうなんだろう。
そしてこの事態だ。
きっとこのスフィンクスさんは、駆け出しはまずFランクEランクで肩慣らしをするのを知らないんだろう。
そもそも砂漠の主とか名乗ってるし、雑魚の強さの違いなんてわからないという彼の言い分もごもっともだ。
でもこれスフィンクスさんが着いてても僕なら一撃で死ぬレベルまである。
スフィンクスさんが言うには、頭部と前胸の境目に攻撃を与えられればすぐ死ぬ雑魚らしいけど…
チラリと後ろを見るとバネの足をグッと収縮させその反動で飛びかかってきた姿が見えた。
カチン!と口から音がしたのが間近に感じる。
無理。無理無理無理無理。
せめて動きを遅くするスロウの魔法があればなんとかなるんだけど…。
ん?動きを遅くする?
辺りを見回す。
辺りには一面の砂。そしてまばらな草。恐ろしいほど何もない。
でも、なんだかこの地形見覚えがあるような…?
思い出したのは、小さな頃。
お母さんに怒られるほど遠くに遊びにあってしまった懐かしい思い出。
僕があそこで見たのは…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます