第6話 まぁそうなりますよね

「こっちだ!デザートカマキリ!!」


とりあえず僕は全力を振り絞ってある一点にむけてダッシュすることにした。


ただでさえ走りにくい砂漠に足を取られそうになるけどそんなの構ってられない。


「キシィィィィィイ」


怖いいいいいい!!!でも、僕の思惑通りなら…


「行っけえええええええええ!!!」


とある一点に来た時、僕はためらわずジャンプした。


その数秒後にカマキリが後ろに着地する音が聞こえ…そして。


僕の後ろから砂が崩壊するのが見えた。



「なるほど!自分で倒せないなら他の奴に倒して貰えばいいって事か!お前さん思ったより賢いなぁ」


「えへへへへ…前一度この砂の形を見たことがあって…」


種明かしすると、僕が走ったポイントにあったのはサバクアリジゴクの巣だった。


まぁ、この世界のアリジゴクは、アリだけじゃなく上を通りかかった生き物をとりあえず襲うのでこの名前は正直間違いだと思う。


「…賢いが、お前さん俺がいなきゃどうやってここから脱出してたんだ…」


「それは本当にすみません」


ただいま上空。そして眼下には視界いっぱいのアリジゴク。おそらく15メートルはあるんじゃないだろうか。


「前見たときはこんなに大きくなかったのに…」


「魔物の個体差を舐めるんじゃない」


本当に危なかった…それに今回は魔物の素材すら回収できていないので、冒険者として活動するときにもやっちゃいけない倒し方だった。


「とほほ…」


「まぁ戦闘に多少貢献したって判定されてたみたいだし、レベルも3上がってるんだからそう落ち込むなよ!!」


「はい…ありがとうございます…」


…レベル?それは一体なんの概念なのかな?実戦経験を積んだ、みたいな意味だろうか…?


その時の僕はその言葉を深く考えず、すぐに先程の戦闘の反省に戻っていた。




およそ半日後。僕は都市の近くまで来ていた。


流石にスフィンクスが都市に現れてはまずかろうという配慮からスフィンクスさんとの旅はここでおしまいである。


ていうかこのスフィンクスさん、めちゃくちゃ配慮のできるスフィンクスなんじゃないだろうか。


「最後にモフモフさせてください〜〜〜」


「あーはいよしよしよしよし、お前ちょっとの間でだいぶ図太くなったな」


「さみしいものはさみしいんです!なんだかんだ言って護衛をしてくれたひとを怖がれるわけ無いじゃないですか…」


「そもそも俺は人じゃないけどな」


「ていうかさ、そんなに言うなら今度はちゃんと俺のところに来いよ。面白い話でも持って来てくれるなら、俺はいつだって歓迎してやるさ」


「…はい、次はもっと立派な冒険者になります…それで、今度はすごくすごく面白い話をさてあげますから、覚悟しててくださいね!」


そうして、僕らは別れた。


けど、なんだかまた出会える気がする。


スフィンクスさんの住処が定まってるから会いに行こうと思えば会いにいけるだけじゃなくて。


とびきり面白い冒険が出来そうな予感がする。


そうして僕は、都市アーセルトランに足を踏みいれた。


僕は知らない。


次にスフィンクさんと出会う時、僕は勇者一行に加わっている事にーーーーーー





同日、夜。


「おらぁっ、スーサイドフレア!」


「ゴァアアアアァァァァァ!!!」


15メートルほどのアリジゴクがスフィンクスの技で焼き殺されていた。


本人は今日はアリジゴクを食べる気分だったからと言い訳しているが、どう見ても通りがかった冒険者に危険だからと排除しているようにしか見えない。


やはりこのスフィンクスはオカン属性なのであった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


とりあえずキンカ視点は終了して、次は違う子がでます




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