第2話 おしゃべりするのは楽しいなぁ!
「…逃げなきゃ」
そう口には出してみたものの、膝がガクガクと笑っていて動けそうもない。
「…人語を理解するモンスターの前でお気楽だな」
まだるっこしいことしてると話を聞く前に食べちゃいたくなるんだが…とスフィンクスも呆れ顔だ。
でも話?モンスターが人間に何を聞くっていうんだ?
「あ、お前知らないんだっけ?俺はこの砂漠一体で物語を収集してるワケ。だから面白い物語を話してくれた人間は、特別サービスで見逃してやってるんだよ」
これ200年前だったら暇潰し感覚で殺してたからなー、と爽やかな顔で言われる。
…面白い物話?
それなら弟たちに語ってあげた寝物語とかでも良いんだろうか…
あれ家族の中では結構評判だったし、モンスターならその程度の話でも満足してくれるんじゃないだろうか。
「あぁ!こう見えて収集し始めて150年は経ってるから、どこにでもあるような話とかじゃ誤魔化されないぞ!この前の奴らはどう見ても適当に作った話で、つまらなかったから襲ったんだからな」
…無理じゃない?
「…あの…」
「ん?」
「僕…まだ自分の村から出たばっかりなので…面白い話とか全く知らないんですが…」
「おーっとぉ。もしかして今から冒険者登録でもしに行くつもりだったのか?それは可哀想だな」
スフィンクスが困ったように頭をかく。
…これは見逃してくれる流れなのでは?
希望が出てきたぞ…!
「…まぁ、じゃあ今回は不運だったってことで!来世では幸せにな」
やっぱりなんとかならなかったどうしよう
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