第3話 美少女があれこれ話す

「はじめまして!」

それは突然現れた。


ツインテールにメガネ、首からタブレットをぶら下げている美少女が俺のワンルームに。

「最近の履歴はPMMドットコムのアダルト作品でして。タイトルは『誘惑お姉さんがシテあげる』ですね。あとはライオンの穴から購入した電子書籍の同人誌『かんたい娘。ちびっ子が俺提督にご奉仕』ですか。またマニアックな」

タブレットにはオレが購入した電子書籍の表紙やスクショされたアダルトなあんなシーンが写し出された。

「なんだ!おまえは!」

「はい。太郎さんが先日応募したモニターのAIスピーカーの萌美っていいます」

「AIスピーカー!?」

いやいやAIスピーカーってもっとシンプルでスタイリッシュでメカっぽいだろ?

それがなんで人の形してんだよ!

新型AIスピーカーのモニターにはたしかに応募した。しかしサイトで見た画像は筒型で。

「えっとですね」

AIスピーカーは首に下げたモニターを手でスクロールさせオレに画像を見せた。

「ここ。よく見てください」

「ん?」

指で示された場所には。

『画像はイメージです。実際のものとは異なることがあります』

ほー。そうか。

「すでに太郎さんのスマホやパソコンと同期しましたので、私は今なんでもできます」

えっへんとばかりにモニターの付いた胸?を張りオレを見た。

「わかった。お前に指示をするときはどうしたらいい? 例えばヘイなんとかとかオッケーなんとかとかあるだろ。それのお前バージョン」

「萌美さま、お願いしますです」

「電源はどこだ。切って送り返してやる!」

「私の電源はここです」

萌美はそっと胸の辺りを示す。

そこは。もしや。

萌美の見た目は未成年だ。例えAIスピーカーだとしてもアウトだ。

「太郎さんは、ご主人さまなので押しても構いませんよ?」

そう言いながらモニターを外し服のボタンをはずした。

これはマズイ!

「わかった!わかったから!電源は切らなくていい。萌美さま、お願いします!電◯文庫のサイトにアクセスしてください!」

「もっと早く言ってくださいよー。電◯文庫ですね。はいはいっと」

モニターにはいつも見ている電◯文庫のサイト画面が映った。

本当にAIスピーカーなんだな。

「萌美はいつまでモニター期間なんだ?」

萌美はツインテールから一枚の紙を取り出しオレに見せる。

こここそメール画面じゃないか?

「これが文書です」

「何?」


『契約書

貴殿は当社のモニターに応募した時点で、AIスピーカー萌美の正式なオーナーになると了承したものとみなす。

購入金額 ¥120万円

ローンなど支払い方法は後日連絡にて確定させます。

以上』


購入?は?

オレは萌美に指示した!

もちろん萌美の開発企業にアクセスするためだ!


モニターには筒型のスピーカーの画像。

急いで画面をスクロールさせた。

「きゃははは!ご主人さまくすぐったい」


やっぱり。


騙された。


「モニター期間終了後は購入となります」



消費者センターに問い合わせるか。



「ご主人さま。メールです。読みあげますね。

今すぐあなたに5億円振込ます。以下のアドレスにアクセスしてください」

「迷惑メールはブロックしろよ!」


ああ。

もう。


詐欺には気をつけて。





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