大麻密売人 よっちゃんとかっちゃん
Love in paris
大麻密売人 よっちゃんとかっちゃん
よっちゃんとかっちゃんは仲良しだ。
北海道出身の二人は中学一年の秋に出会った。
よっちゃんは自宅の裏山でマリファナを栽培していた。
待ちに待った収穫期。
意気揚々と畑に行くと、何者かが勝手に大事に育てたマリファナを盗んでいた。
そいつが、かっちゃんだった。
これが、二人の出会いだ。
当時、よっちゃんの他にマリファナを吸う同級生はいなかった。
兼ねてから、よっちゃんは、この素晴らしい大地の贈り物を共有する仲間が欲しかった。
意気投合した二人はあっという間に仲良くなった。
二人は1980年生まれの就職氷河期世代。
地元の農業高校を卒業したが、彼らも例に漏れず就職できず、いや、元から就職する気もなく、せっせとマリファナを栽培していた。
ある夜、何者かが警察に追われていた。
その男はドラッグ密売組織「ヤーマン」に雇われた「スモーキー」と呼ばれるホームレスの爺さんだった。
スモーキーは、組織の命令で東京から北海道にマリファナを探しに来た。
北海道ではマリファナが自生する。
全国各地から秋の恵みを求めるマリファナ愛好者が集まってくるのだ。
警察も黙って見ているわけでもなく、撲滅に努めていたがあまりにも至る所で生息しているため、その効果は薄かった。
警察がとった一つの作戦があった。
それは、あえて、マリファナが生息する一帯を残すことだ。
何もしらない獲物がよだれを垂らして現れたところを次々と逮捕した。
その罠に見事にはまって警察から逃げていたスモーキーを自宅にかくまって助けたのが、よっちゃんだった。
スモーキーが根っからのマリファナ愛好家だと知ったよっちゃんとかっちゃんは、その晩、彼と朝まで楽しく吸い明かした。
スモーキーは二人の栽培するマリファナが他の名だたる外国産にも引けを取らないことに驚いた。
これが縁で、スモーキーは、彼らの才能を買って「ヤーマン」での仕事を紹介した。
よっちゃんとかっちゃんの役割は、マリファナの栽培だった。
収穫したマリファナを東京の「ヤーマン」に供給していた。
おかげで、二人は大金を稼いだが、その全てを商品開発に投資した。
尽きることのないマリファナへの探求と情熱。
年々、年を追うごとに品種改良が進み、ついに、伝説のマリファナ「ドサンコ ヘブン」通称「ドサンコ」の開発に成功。
東京でのマリファナシェアを独占するまでに至った。
だが、十数年続いた幸せな日々もついに終わりを迎えた。
地元警察の厳しい一斉取り締まりによって複数所有していたマリファナ畑を没収されてしましったのである。
まとまな職についたこともなく、マリファナ栽培以外、何もできない無能な二人。
スモーキーは東京での密売の仕事を世話をした。
東京に来て3年。
よっちゃんとかっちゃんもそろそろ40歳になる。
よっちゃんとかっちゃんは、大好きなマリファナ栽培ができず、日々、悶々とする生活を送っていた。
オープン前のストリップクラブのバーカウンターによっちゃんとスペイン人の女、マリアが座っていた。
マリアはグラマラスで天然のくるくるパーマが似合う25歳のストリッパーだ。
勿論、観光ビザで滞在する不法労働者だった。
よっちゃんがジョイントに火をつけた。
「もう明日かぁ。寂しくなるなぁ」
もくもくと煙りを吐くよっちゃん。
流暢な日本語のマリア。
「よっちゃん、私も同じ気持ちよ。私、スペインで待ってるからね」
「ああ、すぐに会いに行くよ」
マリアが神妙な顔でよっちゃんを見つめた。
「ずっと、言いそびれてたの。実は、私・・・妊娠したの。勿論、あなたの子よ」
ジョイントを吸うよっちゃんの手がピタッと止まった。
「おう・・・そうか。妊娠か・・・」
というと
コーラをぐいっと一気に飲む。
「本当に!産むなって言われるかと思った」
幸せそうにキラキラ瞳を輝かせるマリア。
よっちゃんがマリアの手をギュッと握った。
「バカ野郎」
マリアはよっちゃんの手を強く握り返し、エキゾチックなブラウン色の瞳で見つめた。
「本当に申し訳ないけど、明日までに300万用意できるかな」
「えっ、明日まで?何のために・・・」
「出産費用と生活費よ。私が日本にいるうちに、貰っておきたいの。スペインで私と子供は生きていけないから」
「でも、さすがに明日は・・・」
「よっちゃんの気が変わって、もう二度と会えないかもしれないし、赤ちゃんのためにも、お金をもらって安心したいの?」
「・・・わかったよ。後で振り込むから、もうちょっと待ってくれない?」
「それは無理。この目で確かめないと」
「えっ?そんな事ないよ。すぐ、俺もそっちに行くから」
マリアが愛おしそうに自分のお腹をさすり
「もし、明日までにお金が用意できなかったら、私たちの大事な赤ちゃんは堕ろすわ・・・」
「ダメだよ。そんなことしちゃ!二人の愛の証だよ。絶対にダメ!明日、必ず持ってくるよ」
「嬉しい!よっちゃん。空港で待ってるね!テキエーロだよ!」
「俺もだよ、セニョリータ。おっと、もう、セニョーラだね」
「もう、よっちゃんたら」
ストリップクラブの前にジムニーが停まっていた。
車内はマリファナの煙で充満していた。
かっちゃんが、ジョイントを吸いながら、ジャズを聞いていた。
呆然とするよっちゃんが助手席に座った。
心ここにあらず。
赤く充血する虚ろな目をしたかっちゃん。
「それで、マリアの話って?」
かっちゃんのジョントを奪い一服するよっちゃん。
「・・・マリアが妊娠した」
驚いた様子もなくポリポリとポテチを食うかっちゃん。
「よかったな。おめでとうブラザー」
「めでたくねぇよ!俺、父親になる自信なんてないぞ」
「覚悟を決めて父親になれよ」
「しかもだ、マリアのために、300万用意しないと、明日までに」
「明日までに300万?何に使うんだよ」
「出産費用とか生活費とか色々だよ」
「そうか。それは仕方ないな。そんぐらいかかるだろ」
「やっぱり、そういうものなのか?」
「でも、なんで明日までなんだよ?」
「愛の証なんだってよ」
「あっそ、よくわかんねぇけど、愛は大事だ。俺らのモットーはラブアンドピースだろ?」
「あ~。かっこつけて、金用意するって言っちゃたよ」
「それ、お前の悪い癖だよ」
「貯金0だし、300万なんて用意できないよ」
「だな。最近もマリアのお袋が病気で100万ほど渡したばかりだし、その前は、カタルーニャの活動家の兄さんが殺されて葬式代50万だっけ」
「ああ、何故か2度も」
「きっと兄弟だろう。前も言ったが、あんな純粋な子がお前を騙すわけないよ」
「一度でも疑った俺は馬鹿だよ」
「これから、お前、どうすんだよ?マリア追ってスペインに移住するの?」
「あっち言ったところで、言葉話せないしな、それに、俺にできる仕事ないだろ。とてもじゃないけど家族を養っていけないよ」
「じゃあ、しばらくは仕送りか」
「それが、毎月30万は必要なんだって」
「マリアの地元はバルセロナだろ?今、独立問題で大変な時だから物価が高いんだろうよ」
「そうなのか?」
「ああ、そうだよ」
しみじみとかっちゃんが
「そうか、お前が親父か・・・だったら、売人をやめないとな」
「何でだよ?」
「こんな汚い金で子供育てるつもりか?ろくな子供に育たんぞ」
「確かに、お前の言うとおりだ」
「だけどよ、お前、売人以外できないしな。今更、バイトもな」
「無理、40のおっさんがコンビニのバイト?想像しただけで、死にたくなるわ」
「お前、馬鹿だな。コンビニを甘く見るなよ。今時のコンビニが求める労働力は低賃金でこき使える外人なんだよ」
「そうなの?言われてみれば、外人だらけだよな」
「それもだ。外人と言っても、多くはチャイナや発展途上国の有色人種ときたもんだ。考えて見ろよ、白人なんて少ないだろ?」
「確かにそうだ」
「これは現代の奴隷制度だよ」
「差別、差別と騒いでる連中も毎日、コンビニ使ってんだよ。だったら、お前が働けよって言いたいね」
「偽善だな」
「腐った社会なんだよ!こんなところで、お前のガキを育てられるのか?」
「いや、無理だ」
「マリアが国に帰るのは、ガキのためでもあるんだよ!」
「そういうことか」
「そういうこと」
よっちゃが深いため息をついて
「はぁ、300万かぁ」
「よっちゃん、金貸してやりたいけど、俺もキャシーの仕送りできついんだわ」
かっちゃんにも彼女がいた。マリアと同じストリップクラブのストリッパー、キャシーだ。
メキシコ人のキャシーは一年前に帰国していた。
「キャシーとうまくいってるの?」
「弟が麻薬カルテルの金に手を出しちまって、命と引き換えに500万必要だって言うからよ」
「マジで?かっちゃん、もしかして、肩代わりしたの?」
「そうだよ。おかげですっからかんだよ」
「それで弟は?助かった?」
「あれから、半年たっても、まったく連絡がないから、心配してんだよ」
「メキシコでメイドやってんだろ?」
「白人にやっすい金でこき使われて、まるで奴隷だよ。奴隷。ムカつくわ」
道路を挟んでコンビニが見えた。
店の前で定員と思われる東南アジア系の青年が店長と思われる男に怒鳴られている。
かっちゃんが、彼らを指差して
「よっちゃん、あれ見てみろよ。どうやら、我ら日本も人ごとではいられないようだ」
「マジだ」
かっちゃがニヤリとして
「よっちゃん、俺はいいこと思いついたぜ。明日までに300万作る方法」
「何?」
「強盗だよ。コンビニ強盗」
「えっ!強盗?さすがに、やばいぞ」
「相棒よ!あの青年の悔しさがわからないのか?きっと、貧しい農村から日本にやってきてだ、やっすい給料を田舎の家族に送ってんだよ」
「だよな。今の俺達には凄くわかるよ」
「いいか。正確に言えば、これは強盗じゃない。搾取する者への天罰だ」
「だったら。奪った金は正義の金だな」
「その正義の金をマリアと子供に渡してやれ。奴隷をこき使うぐらいだ、300万くらいあるだろ」
「さすが、かっちゃん!一石二鳥だ」
「きっと、キャシーも喜んでくれるぜ」
池袋駅北口に近いロマンス通りという繁華街。
よっちゃんは人気のない、路地裏にいた。
今は、「ヤーマン」をやめてホームレス生活のスモーキーと会っていた。
よっちゃんは、他に人がいないか、確認する。
上着のポケットから、一箱のタバコをスモーキーに手渡して
「爺さん、金はいらないよ」
「よっちゃん、いつも悪いね」
「乞食から金と取るほど落ちぶれちゃいないよ」
ため息をつくよっちゃん。
落ち込んだ様子を見た爺さんが
「何かあったようだな」
よっちゃんがジョイントに火をつける
「なぁ、爺さんよ。俺の女が妊娠しちまってよ。一度は、親父になろうと決心したけど、やっぱり心が揺らいでよ」
「やっぱり、馬鹿野郎だな、お前は」
「知ってるよ」
よっちゃんが咥えたジョイントを奪うと、美味そうに吸う爺さん
至福の笑顔で煙を吐き
「おっ、これ美味いな。もしかして
ドサンコ?」
「そうだよ。プライベート用に細々と自宅栽培してんだよ」
「よっちゃんよ。日本ではな、子供は神の子、仏の子って言ってな。有難い存在なのよ。このドサンコのようにな、迷う事なんて何にもない」
「神の子か」
「よっちゃん。もし、お前がマリファナと出会わず、この大地の恵みを味合わないまま死んだらどうする?」
「うわぁ、最悪だよ。そんな人生、考えたくもないね」
「そういうことよ。子供も同じだ。せっかく、頂いたんだから、有り難く頂戴しとけ
「爺さん、俺、覚悟を決めたよ」
明け方。
ゴミ箱をあさるカラスの群れ。
街は静まり帰り、人通りも少ない。
路地裏からコンビニの中の様子を覗くよっちゃんとかっちゃん。
二人はカラシニコフのエアーガンを持っている。
「かっちゃん。これさ、よくテロリストが持ってるやつだろ?もっと、普通のなかったのかよ」
「こういうのは、迫力があったほうがいいんだよ。ブラザー」
コンビニの中では、あの店長と東南アジア系の青年がレジにいた。
誰も客はいないようだ。
かっちゃんが、ジョイントに火をつけて
「よっちゃん、あの青年。昼間っから働いてるぞ。どんだけ働かせんだよ」
「ブラック企業ってやつだな。俺たちで正義の制裁を下してやろうぜ!」
かっちゃんが、よっちゃんにジョイントを回す
「吸って落ち着けよ、ブラザー」
よっちゃんは深くジョイントを吸った。
「行くか、かっちゃん!」
目指し帽を被ったよっちゃんとかっちゃんがコンビニに押し入る。
意気揚々とするかっちゃん。
「手をあげろ!」
店長とバイトの青年に突きつけるよっちゃんとかっちゃん。
驚きと恐怖で 身動きできない店長と青年。
青年に銃口を突きつけるかっちゃん。
「おい、外人!ファッキンジャっプくらいわかるよ馬鹿野郎!」
「えっ?言ってませんが」
「この野郎、いいから金出せ馬鹿野郎」
かっちゃんは監督北野たけしの大ファンだった。
怯える青年はレジから数枚の万札と数千円をレジの前に置いた。
それを見たかっちゃん。
「なんだ、これだけかよ?もっとないのかよ?」
「いえ、これだけです」
店長に銃口を突きつけるよっちゃん。
「おい、さっさと金庫開けろ!」
店長の手が震えて、なかなか金庫が開かなった。
パトカーのサイレンが聞こえた。
慌てるよっちゃん、店長を蹴飛した。
「テメェか、通報したのは?」
「よっちゃん、いいから、もう逃げないと!」
「おい、かっちゃん!俺の名前を呼ぶなよ!」
パトカーのサイレンが段々と近くなってきた。
慌てて、店をでようとする、よっちゃんとかっちゃん。
すると、かっちゃんがピタリと立ち止まると、レジに戻ると奪った数枚の万札の1枚を青年に差し出した。
「青年よ。国の家族に送ってやれ」
走ってその場を去るかっちゃん。
路地裏に逃げ込む二人。
追って来る警官達。
必死に逃げる、よっちゃんとかっちゃん。
ゼーゼーと息を切らすよっちゃん。
「捕まったらやばいよ、かっちゃん。俺のポケット、ウィードでパンパンだよ」
「もったいないけど、捨てろ!」
「くそ!」
よっちゃんは、路肩にマリファナの入ったパケットをすてた。
よっちゃんが足をすくわれ道に倒れた。
どうやら、足をくじいたようだ。
「かっちゃん、お前だけでも逃げてくれ」
「馬鹿言ってんじゃねぇ。俺たち、いつも一緒だろ」
よっちゃんに肩を貸すかっちゃん。
かっちゃんを突き放すよっちゃん。
「かっちゃん、お前だけでも逃ろ!頼む、マリアに愛してるって伝えてくれ!」
「すまん。ブラザー」
よっちゃんを置いてかっちゃんは逃げた。
逮捕されることを決心したよっちゃん。
すると、聞き覚えのある声が聞こえた。
「おい!お前!こっちだ!こっち」
物陰でスモーキーが手招きしていた。
よっちゃんはスモーキーに案内されて、彼の住む汚いテントに隠れた。
「くっせぇなここ」
よっちゃんが鼻をつまんだ。
スモーキがバッチとよっちゃんの頭を叩いた。
「うるせぇよ。助けてやったのに、で、お前、何しでかんしたんだ?」
よっちゃんが肩からぶら下げるカラシニコフを見たスモーキー。
「お前、テロリストだったのか?」
目を細めてジョイントを吸うよっちゃん。
「そうかもな。酒も呑まないし、豚肉も食わないし」
サッとよっちゃんのジョイントを奪って吸うスモーキー。
「だったら、ムスリムだ」
辺りは静まり、時より車が走り去って行く音が聞こえる。
よっちゃんがポケットから一本ジョイトをスモーキーに渡す
「助けてくれたお礼だ」
「当然だろ。お前らが捕まったら、ただで手に入らないからよ」
あたりを確認すると、去ってゆくよっちゃん。
よっちゃんを見送るスモーキー。
テントをビッシと閉める。
ごそごそとゴミの中からマリファナのパケットを取り出して、パイプにマリファナを詰めると、美味そうにマリファナを吸うスモーキー。
よっちゃんとかっちゃんが乗ったジムニーが空港のパーキングに停まっている。
朝陽が二人を照らしいる。
ぐったりした二人。
よっちゃんの手には3万円。
深くため息をつくよっちゃん。
かっちゃんがよっちゃんの肩をポンポンと叩いて
「よっちゃん、お前はよく頑張ったよ。マリアもわかってくれるさ」
「そうかな?」
「二人に愛があれば、金なんてどうにでもなるさ」
「そうだよな。愛が全てだよな」
「よっちゃん、それにだ。俺達は憎っくき現代の奴隷制に一矢報いたんだ」
かっちゃんがジョイントに火をつけて
「よっちゃん。マリアが来るまで、あと三時間はあるぞ」
「コーヒーでも飲んで待ってるよ。かっちゃんは帰っていいよ」
助手席のドアをバンと閉めるよっちゃん。
空港でしょぼしょぼする目をこすりながら、カフェを探すよっちゃん。
早朝で開いている店が少なく、ようやく一軒の店を見つけた。
コーヒーを注文した後、ドカッと椅子に座るよっちゃん。
スマホをいじっていると、後ろの席で二人の男女の会話が聞こえる。
女の方は聞き覚えがある。
まさかと思って、振り返ると、マリアの後ろ姿だった。
ハゲで気の弱そうな年配の男と話している。
鏡越しに二人を見るよっちゃん。
男がテーブルの上にパンパンになった封筒を置いた。
「マリア、約束の300万」
「ありがとう!ミヤモール」
「礼なんて、俺とお前の大事な子のためなら、金なんて惜しくないさ」
「ミアモール。テキエーロだよ」
「俺もだよ」
手を握り合う二人。
マリアはよっちゃんとこの男を騙していた。勿論、妊娠していない。
全ては嘘だった。
マリアは嘘に涙を拭くと
「フライトに間に合わない。もう、行かなくちゃ。辛いから、見送りはここまでにして」
よっちゃんが、二人の座るテーブルにバシンと叩いた。
唐突な出来事に固まるマリア。
「えっ?よっちゃん、なんでここに」
目を丸くして驚く男。
「誰だ君は?」
よっちゃんは、ハゲた男の頭をピシッと叩いた。
「赤ん坊の父親だよ」
「えっ?マリアどういうことなの?」
よっちゃんっが、おどおどする男の頭を、また叩いた。
「どうもこうもないんだよ。さっさと金持って帰れよ!」
何が起きたのか頭を整理できない男。
「でも・・・」
男の胸ぐら掴むと睨め付けるよっちゃん。
「帰れって言ってんだろハゲ!」
マリアが男を引き止めたが、男は逃げるように封筒を持って去った。
「ちょと!お金置いてってよ!」
よっちゃんが、そっとマリアを引き寄せ抱きしめた。
「ごめん、マリア。あいつから金、騙し取るしかなっかったんだよな。俺に気を使って」
馬鹿じゃないの?とよっちゃんを見るマリア。
そんな、マリアをよそによっちゃんは自分に酔っていた。
「マリア、テキエーロ」
それでも、マリアを信じるよっちゃんだった。
大麻密売人 よっちゃんとかっちゃん Love in paris @Kusonitakaruhae
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