第一部の完成度に驚嘆した。でも物語はここからが本番だった!
波乱の第一部がいちおうの解決を見て、甘い恋の駆け引き……から始まる穏やかな幕開け?
と思っていたら、後半、怒涛の展開が続いて目が離せません。
あいかわらずの質の高さ。
そんじょそこらのやわな転生チーレムだの、ざまぁだのは性に合わない!——というかたは、ぜひ、この作品を読むべき。
重厚なストーリー、多くの魅力的なキャラクターが織りなす複雑な人間模様。
どれをとっても一級品なんですが、とくに作者さまの力量がうかがえるのは、今回、美しい風景を描くことで語られる、あるとても悲しい場面。描写が美しければ美しいほどその事実は悲しく、それにともなう痛みや苦しみ、無念の強さを感じさせながら、それでいて厳かでもある。
景色の美しさとの対比の妙ですよね。
名場面だと思います。
ますます複雑にからみあう人物たちの今後はどうなっていくのか?
見え隠れするSF要素も見逃せません。
全四部作の折り返し地点。
ですが、展開には緊張感があり、クオリティもますます上がる一方。
リアナやディミオン、フィルの関係、彼女の王政の前に立ち塞がる、母の負の遺産。そして明らかになるリアナの身体の秘密。
本格的に、あらゆる方面で物語が進み、作者さんも筆がノっているのが鮮やかで洗練された描写から伝わってくるようです。
春。陽気に当たれた恋と生殖の季節。しかしその裏で蠢動する冷たい死の気配。その温度差が読者に切り込むような鋭さを与えてくれます。
リアナの異変に対する男たちの決断が、それぞれに胸を打つことでしょう。見どころしかない、衝撃が衝撃を呼ぶ第二幕です。
一部の結末から予想した以上に三角関係がキテます。
全部の角が鋭角のあり得ない三角形を想像するといいでしょう。
リアナをめぐって、タイプの違うイケメンが息苦しいまでの葛藤を繰り広げて読んでるこちらも過呼吸気味。恋愛模様の密度とテンションが半端なく、思春期のイタい思い出がぶり返してのたうち回りそうです。
一部では三人をやや遠巻きに眺めていた感がありましたが、二部からももう覚悟を決めてフィルに肩入れすることにしました。隅っこに追いやられた傍流のあいつのことが妙に気になって仕方ない。
もはやフィルさえ幸せになればいいとさえ思ってます。
未読の第三部、〈竜殺し〉フィルが看板にたがわず竜を惨殺しまくる展開でもかまわない。でもあいつはそんな真似はしないだろうなぁ。
……とまぁ、ちょっと熱くなりましたが、それくらいハマれる物語です。
三部作と言いつつ四部もあるみたいなのでまだ折り返し地点かな。
受験生も死刑囚も読むべき!
本作は「リアナ 呼ばいあう王冠」の続編に当たり、全三部作の中の第二部になります。初見の方は是非とも第一部を読んでみてください。
前作から更に重厚になったファンタジー描写、政争と種族の駆け引き、魅力的なキャラクターの数々、謎が謎を呼ぶ展開と、パワーアップしまくりです。
特に気に入っているのは竜族の繁殖に絡む人間ドラマ。
長命な竜族達の価値観や肉体的特徴、そして次世代へ繋げるという目的に特化したシーズンという役割が事細かに設定されていて、なかなか凄いです。一方、竜族として子供を授かることは必須ではあるけれど、キャラクター達は感性を持つ人間でもあります。
義務と理想の狭間で揺れ動くリアナとデイミオンが、なんともまぁいい感じに昼ドラ!(作者様公称
繁殖という民族的な問題と、恋心という絆の問題をうまく絡ませた展開はお見事という他ありません。
フィルバート、デイミオン、リアナの三者模様も目が離せません。
この三角形は果たしてどうなっていくのか!
戦争の気配や各自の思惑が複雑に絡み合う中、リアナの揺れる心はどこに行き着くのか!
もう怒涛の展開でぐいぐい引っ張られていきます。
第一部と合わせて楽しんでください!
私は竜(龍も)が好きです。でも何でも良いと言うわけではありません。まず悪役は駄目です。下僕も嫌です。上から過ぎる竜(龍)もごめんなさい。ということで、かなりストライクゾーンが狭い自覚があります。
この作品は竜個別の描写は多くは無いですが、種別や能力などの書き分けが明確で、物語の重要な部分でもあり、5行の色とあわせている所も面白いです。
キャラクターも好みです。訛ってる方もいいです。脇役の方までしっかり個性が感じられます。
主役の3人の恋の行方や、まだ明らかになっていない謎解きも含めてとても楽しみに読ませて頂いています。今後もよろしくお願いしますm(__)m