図書館の書架にある「地域の民話」の一篇として収録されているような掌編です。顔が彫られていない菩薩、という表現にピンと来られる方も多いはず。怠け者が鬼に憑かれた教訓話として語り継がれているが、その実、一番怖いのは菩薩像を彫った職人アナマロが血を吐いて死んだことではない。この菩薩像がこの後に引き起こすであろうカタストロフを予期させる締めくくりにあるのだ。怖さは現在進行形なのである。
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