マリア

@aoijun

第1話

マリア




「お母さん。」


、、、、、


「お母さん。」



「は、、」




私は目が冷めた。

嫌な夢を見ていた。

体中に汗がうっすらとかいていた。



「お母さん?」


「どうしたの?マリア。」


「お母さん。ちょっと唸っていたから、、」


「そう。。」


あまり覚えてないがやはり嫌な夢を見ていたらしい。

「ごめんね。」

「うん。大丈夫。」


マリアはニコッと笑った。


「おかあさん。ジュウス飲みたい。」


「うん。じゃあこの車両の最初入った場所に自販機あったよね。そこで買って来なさい。」

小銭を渡した

「わかった」

マリアはそういうと喜んでジュースを買いに行った。


ふー


嫌な汗は引いた。


私は今年の二月に夫、たくみを亡くした。

夫は歴史研究家で沖縄の遺跡を発掘してる最中に事故で死んでしまった。

夫はミステリアスな人だった。

そんな彼に惚れてしまったわけだけど。

家にほとんどいない人で半年帰らないことなんか珍しくなかった。

そんな中で彼と私の間にマリアは生まれた。

マリアは私や彼と違い水色の目をしている。

そんな不思議もあるが彼のほとんどを知らないまま彼はこの世を去った。

「お母さん。」

「おかえり」

マリアを見るとホッとする。

「オレンジジュースにした」

「そうなんだ。」

マリアはオレンジジュースに口をつけた。

マリアの目はビー玉のように綺麗だ。

とても癒される。


「この電車。人があんまりいないね」

「うん。ローカル線だからね」

「ろーかるせんってなに?」

「ローカルせんは田舎の電車で都会と違って人があんまり住んでないから人が少ないんだよ」

「そーなんだ」

彼が残した遺物に鍵と住所がのっていたのだ。

彼には持ち家や別荘、実家があることを聞いてなくましてや浮気をするタイプでもないから不思議に思った。

私は実家がやっている花屋を一週間ほど休みをとりそこに何があるのかを知るため向かっているのだ。

「お母さん。夕日が綺麗」

「そうだね。このあたりは都会と違ってビルが少ないからよく見えるね」

マリアの瞳が夕日のせいか緑色に見えた。

グーグルマップで見たが彼の住所が記載された場所は街から少し離れた場所にあるようだ。

そこに家がポツンとあるのも確認ができた。


「お母さん。この海綺麗」

マリアの言う通り海が綺麗に車窓から映し出されていた。

「そうね」

「お父さん。天国でもこの海、見てるのかな」

、、、、、

「そうね。天国にはもっと大きくて綺麗な海があるからそっちを見てるのかな。」

「ふーん。」

マリアはよく父の話をする。

そんなに一緒の期間もなかったが父を思い出すようだ。




あたりはすでに暗くなっていたがようやく目的の駅に着いた。

「お母さん、ここ静かだね」

「田舎だからね。」

「うん、、」

マリアは私の手をぎゅっとした。

(もう少し早く家を出ればよかったかな。)

そんな後悔もしながら目的の家に向かうことにした。


「おやおや、綺麗な都会のマダムだね。こんなところにいかな用事でおいでになられたのですか?」

いきなり声をかけられて少し驚いた。

田舎ではよくあることなのかな。

「私、南町に用がありまして、、、」

「え、南町。」

初老の男性は少し驚いた。

「あなた、、、一体あそこに、、なんのご用事で。」

「夫が、前に住んでいたようで」

「え」


さらに驚いているようだ。

「いや、、あそこは、前から人が住んでいる気配もない感じしていましたが、、」

私は、少しゾッとしたのを感じた。

「では、一体何があるのですか?」

「、、、、、、、。」

初老の男性は黙ってしまった。

「あそこには行かぬ方がいいですぞ」

「え、あの。、、」

聞く間もなく初老の男性は去ってしまった。

んん。

私は少し考えてしまった。


「お母さん。」

マリアが心配そうな眼差しで私を見ていた。


南町にある家に向かいそこで一夜を過ごそう。


私は夫の家に向かうことにした。

「マリア。向かいましょう。」

「うん。」

初老の男性に言われたことが気になったけども、宿代のことを考えると気にも出来なかった。


地図を見ながら向かうことにした。

というのもスマホに電波が入らない道のりだったのだ。

グーグルマップである程度確認していたので大体は想像できる道のりだった。

「お母さん。ここ通るの?」

アリアが言った。

「この道を通らないといけないみたいね。」

少し外れた道も通ることになった。

街灯もない道なので私は懐中電灯を二つバックから取り出しよく光る方をマリアに渡した。

「大きいほうマリアにあげるね」

「大きい方だ。」

マリアははしゃいだ。

少し歩くと道は凸凹の道になっていった。

幼いマリアには少し大変な道のりだ。

「都会にはない道だね。」

マリアは一転し少し楽しんでいるようだ。

(マリアを連れて来るべきではなかったのかも)

マリアを預ける人もいなかったのだけれども私自身も一人で向かうのがこわかったのかもしれない。

と、ある目印が見えた。

地蔵だ。

グーグルマップにも同じのがあった。

「やっとついた。ここまでくればもう一息よ。」

私はそういうとマリアはその目印の地蔵を見ていた。

「どうしたの。マリア?」

「私、、、。ここに来たことある。」

「え?」

「お母さん。こっちだよ。きて。」

「え?ちょっと、、、、。」

アリアは走り出していた。

マリアの足は思った以上に速かった。

「待ってマリア。そんなに走ったら、危ないよ。」

「私。ここに来たことあるもん」

「え。」

マリアをここに連れて来た覚えもないし、、、、

まさかたくみが、、

マリアの姿が見えなくなった。

「マリア。。」

私は叫んだがマリアの声は聞こえなかった。

(どうしよう、、、)

私はとりあえず先に向かうことにした。

マリアはいつからあんなに足が速くなったの。

マリアは比較的におとなしい子だ。

外で遊ぶのよりも家で本を読むような子だ。

ともかくもマリアを見つけるためにもたくみの家に向かおう。

私は動くことにした。

やがて道も人が十分歩ける凸凹もない道になり、

「ついた。」

私は無事に到着した。

私の明かりを灯すことでうっすらと見えたが

グーグルマップで見た風景の木の家だった。

が近くで見ると違和感を持った。

「ん。なんか、、、、。」

そう、思ったよりも老朽化していたのだ。

触ると壊れてしまいそうにも見えた。

なんでこんなに、、

老朽化するにも早すぎるスピードに感じた。

ここあたり一帯の時の流れが早いのだろうか。

恐る恐る扉を開けたが、家は壊れなさそうだった。

そこを開けるとマリアがいた。






大きい部屋だった。

「マリア、、、、。」

「お母さん。」

「マリアなんで走って先に行くのよ」

「うん、、。」

マリアの前には人の二倍くらいの御神体がそこに置いてあった。

「これは、、、一体、、」

「お母さん。ここ来たことあるよね」

「ん。」

マリアは先ほどにも同じようなことを言っていた。

「マリアはここに来たことあるの?」

「みんなできたでしょ?」

私はここに来た覚えはなかった。

「みんなって?」

「私と、、お父さんと、、」

お母さん。

マリアはそう答えた。

、、、

「三人で?」

「もっと多かった気がするけど」

マリアは見た夢のことを話しているのだろうか。

「私が覚えているのは、、、三人かな。」

そんな話をしていると、

急にノイズが走った。

「うう。」

なんだこれは、

ワ、タ、シ、は こ こ に く る べ き で は な か っ た のか

私は寒気を感じた。

「ようこそ来たね、、って」

「え?」

マリアがなんか言った。

「ようこそ来たねって、クワっ斗が」

「クワット?」

マリアは御神体を指差した。

マリアは先ほどのノイズを言葉で聞こえたというのか?

また、ノイズが走った。

「ううう。」

こめかみが痛くなった。

「あ、、」

マリアが声を発した。

「お母さん。。。私行かなくちゃ。」

「え、、。」

マリアを見ると少し透明がかっていた。

次の瞬間。

御神体から猛烈なパワーを発した。

「うううううう。」

こめかみの痛みが増した。

キーン。

次の瞬間、辺りが静まった。

「はあ、はあ、はあ、」

私は汗をかいていた。

「マリア」

マリアは消えていた。

「うそ、、、」

私は外に出てマリアを探した。

「マリア」





次の日。

私はそこの家に泊まり

マリアを探したが

見つからなかった。

(マリアはどこに消えたのだろう。)

こういう時ってとりあえず警察に届けを出すべきなのであろうか。

私はとりあえず人がいそうな街に一度帰ることにした。


夜も歩いた道だが昼間歩くこの道が大変に思えた。

マリアがいない心細い思いからかまた

あの家から出る不気味のオーラのせいか

道どりが捗らない。

よくあの家で寝れたものだなと思い返した。

ようこそ来たね。

マリアの不気味な声を思い出した。

(マリア、、)


やっとの思いで元来た駅に着いた。

昼間の駅は昨日ついた時よりも少し人通りがあった。

また人を見て少し安心をした。

「はあ、はあ、」

少し息苦しかった。

水を飲もう。

昨日から水分をとっていないことに気づいた。

「すいません。このあたりに水が売っているところを知りませんか?」

「ああ、それだったら、東に行ったところに、、、おや。」

話しかけた人はなんと昨日の初老の男性だった。

「あ、、、昨日はどうも、、、はあはあ」

「あれから南町に行ったみたいだね、、、。」

初老は私のことを見てそう感じたみたいだった。

「、、、どれ、水を買って来てあげよう。。」

「あ、でも、、。」

「いや、いいんだよ。ちょっと待っててください。」

初老の男性は東の方に行ってしまった。

私は深呼吸をして一息ついた。

重たい重力から解放されたみたいだった。

(昨日いた場所は一体なんだったんだろう。)

「お待たせしたね。さあこれを飲んで」

「すみません。」

私は初老の男性が持って来てくれた水を飲むことにした。

「大丈夫かい?さ、ここに座って。」

初老の男性はベンチを自分のハンカチで拭いて案内してくれた。

私はそこに座り一息ついて落ち着くことができた。

「で、どうだったかい?」

「はい、、、。」

私はどう説明していいか少し悩んだ。

「やはり、、、、悪いことが起きたんだね。」

「はい。。。」

「あそこはとても不思議な場所じゃ。」

男性は南町について語り出した

「ある者はあそこに行き姿をなくし、あるものは精神が崩壊し、

あるものはあの場所を聖地と崇むものもいる。」

、、、、、、、

「あそこはとてもパワーを持った場所、この土地に住むものは皆近づかないように先祖代々言われ続けているのじゃ。」

「私の娘が、、マリアが、、」

「あなたの娘、、?」

初老の男性は少し考えた。

「そのマリア、ちゃんは、、、そこで消えてしまったのかい?」

「はい、、。」

こうなるのではマリアを連れて来るべきではなかったと後悔していた。

「まあともかくもあそこには二度と近づかないほうが良い。

ミイラ取りがミイラになってしまうからのう。

警察に届けを出して見守ることにしなさい。」

「わかりました。」

「たまに生存者は森の方で発見される。それを待ちなさい。」

「はい。。。」

私は、、。





私は、、、



私は、、、


ドウスレバ


、、。。。。。




私は自分の家に一旦帰ることにした。


「ありがとうございます。おじさま。私はとりあえず家に帰ることにします。」

「そうじゃな。」

では、と話し切符を買い電車に乗ることにした。











あれから私は奇妙な家に近づくことをやめた。

私はあれ以来少し精神に異常が出て精神科に通うこととなった。

あの地から帰ると三日間ほど寝ていて状況的にまずかったのである。

そこから私はそこの医者と恋に落ち再婚することとなった。




「なあ。。。お前、またお腹大きくなったな。」

「そう。。私の体はあなたの方がよく知っているみたいね。」

「まあね」

夫は紅茶でも飲むかといい、そこを離れた。

「そうだ。。名前、、、どうするかな。。」

「うーん。。そうね。。」

私は何か大事なことを忘れているきがした。

幸せだからそんなのどうでもいいかな。

夫が喋った。

「マリアなんてどうだ?」

ん?

マリア?

なんか大事なことを忘れてる気がした。

マリア。

マリア。


ま り あ    


「お母さん。」


「なに?」


私は誰かに呼ばれてる気がして答えてしまった。


「ン?」


ふと我に返った。


「ううん。なんでもないの」

「変なやつだな。ハハは。」

旦那は笑いながら答えた。


「マリア。…うん!いいじゃない。

女の子らしい名前で、、

そうしましょう。」

私の子はマリア。

瞳が綺麗できっと私の癒しになるわ。

私は一歩一歩と幸せの階段を登るのよ。

「いい子を産みましょうね。」

「ああ、そうだな。」

「愛しているわ。」

たくみ。

たくみ。たくみ。


たくみ?





ふふふふふ。




あなたはそこにいるべきではないわ。




え?





「どうされましたか?」


私は夢でも見てたのだろうか?

目の前には初老の男性がいた。

「ちょっと疲れてるみたいです。すみません。」

「いやいや、いいですよ」

何がドウナッテイルのダ。

私は

警察に

そうか。警察に行けばいいんだっけ。





私は警察に届けを出すことにした。


「ありがとうございます。おじさま。私は警察に届けを出すことにします。」

「そうじゃな。とりあえずそうしなさい。東町に警察があるからそこに行きなさい」

「はい」

再度お礼を言い東町に向かうことにした。




「はあ、気の毒なお方じゃ。」

初老の男性は一人になりそう呟いた。

「娘さんがそこでいなくなり、探しに来るとはのお」




私は初老の男性に言われた通り警察に向かい話すことにした。

「すみません。」

「はい。」

警察の男性に事情を話した。

夫の遺品にあの土地と鍵が出て来たこと。

東京からマリアと一緒に来たこと。

マリアと家に着いたがマリアが行方不明になったこと。

初老の男性に言われたこと。

「そうでしたか。我々もあそこにはなるべく近づかないようにしてるのですが、そんなことが」

警察の男性は親身に聞いてくれた。

「この地には南町の警察のスペシャリストチームがあります。まずはそこにお任せしましょう」

「はい。お願いします。」

「身分証明書を提出していただけますか?」

「はい」

私は財布から身分書を取り出した。

「はい。確認とりました。」

警察の男性は身分書を返してくれた。

「ところでその行方不明になられたお子様のお名前は」

「藤堂マリアです」

藤堂はたくみの名字だ。

「確認しますね」

警察の男性は奥の部屋に行った。

(マリア大丈夫かしら。)

思えばマリアは不思議な子だった。

人と話せばみんな笑顔になる子だった。

一人でいれば独り言をよく言ってた気がする。

そういえば、、、

なんだっけ、、、

何か大事なことを過去にマリアが言ってた気がする。

、、、、

思い出せない。

、、

「あの、、」

警察の人が戻って来た。

「お頼みできましたか。」

「一応、伝えることは伝えたのですが、、」

「なんですか?」

警察の人が一瞬黙って重たい口を開けた。

「マリアちゃんであっていますか?」

「はい?」

私の娘はマリア。

間違いはない。

「マリアですけど。」

あの。

「藤堂マリアさん。珍しい名前でなかなか同じ名前をもつ人はいないと思うのですが」

嫌な予感がした。

「いないんですよ。その名前の戸籍を持つお子さんは。」

ゾッとした。

思わず聞いてしまった。

「え、どういうことですか?」

「私にもわかりません。別の名前で登録されたとかでしょうか?」

いやそんなこと、、

間違いはない。

確かにマリアで登録したはずだ。

その後も調べてもらったが

マリアどころか。

私とたくみ間には子供がいないこととされていた。

「そんな、、、ことって、、」

「私たちの力ではこの件はお受けできかねます。

どうぞお引き取りください。」

私は記憶違いをしているのか。

マリアは一体誰のこなのか。

もしかして知らない人の子?

わからない 

わからない。

私は警察をでた。



たくみ、

私たちには

本当に子供がいたの?



私には親戚もいなかった。

確かめるすべは、、


そうだ。

マリアには幼稚園に通わせていた。

私は早速幼稚園に電話をかけた。

、、

、、

、、

「おかけになった電話番号は現在使われておりません」

私は絶望した。

幼稚園に通わせていたことも幻覚、、?

私は、、、

一体誰?

マリアって実際に存在してたの?

たくみって本当にいたの?

私はこれからどうすればいいの?

私は、、

私は、、


この田舎で、ものすごい孤独感に襲われた。

日はまた沈みかかっていた。





気がつくと夕方。

私は駅に戻り、

南の方へ、、、

あの家を目指していた。

不思議と駅に向かう時は大変だったが、

あの家に向かうのは

苦ではなかった。

(戻ろう。たくみが残してくれた家に)

また目印の@@@@@@の場所まで戻って来た。

そういえばこれをマリアはよく見ていたっけ。

おかえりなさい。

んん。

声が聞こえた気がした。

気のせい、、、

いや

気のせいではないだろう。

この声はきっとマリアが聞いてた声だ。

どうしたの。色々と聞いて回って疲れたでしょ?

雑音ではない。。。

完全に聞こえ出した。

あなたは昔から、

頑張り屋さんだったものね。

キーーーーーーン。

ううううう。

またこめかみが痛み出した。

さあ早くうちに来なさい。

クワットのところに。

私は行かざるおえない。

他に選択肢がないのだ。


家の前に着いた途端。

違和感が増した。

もっと家がボロくなっている。

暗い中あたりを照らしていると

人影が木の下にあった。

「誰!」

返事はなかった。

ゆっくりゆっくりと近づいた。

明かりで人影をよく照らした。


そこには一人の少女。

マリアではない。

マリアと同じくらいの年頃。

笑っている。

「あなた、、、。」

何も喋らない。

いや、、

喋れないのだろう。

もう死んでいるのか?


私は驚くことがなかった。

いろんなことがありすぎて

それだけでは驚かない。

その少女に触れた。

冷たかった。

やはり死んでいるみたいだ。

その少女から手を離した瞬間。

その少女は倒れてしまい、

少女がバラバラになってしまった。

ううう。

バラバラになったその体を見て

吐き気がもようして来た。

「おおおおえええ」

私は吐いてしまった。

「ハアハアハアハア」

少女の死体を見直すと。

少女の死体の周りに虫が群がっていた。


大丈夫。

彼女は土となり

また再生します。

早く、

私の元へ。


また声がした。

私は家の前にきた。

扉を開けると

御神体が壊れかけていた。

気のせいか昨日見たよりも御神体が大きくなっているようにも見えた。

私は御神体の前に行きよくその顔を見た。

この御神体。。。

私?

私によく似た顔をしているように見えた。

よく来ましたね。

待っておりました。

「私に語りかけてくるのはあなたなの?」

そう。ずっと待っておりました。

私の声も聞こえるようになったのですね。

「マリアは一体どこに行ったの?」

マリアはここにいます。安心なさい。


私はマリアが無事なことに安堵した。

「良かった。」

思わず声を出した。

あなたたちは役目があってここに来たの。

だから役目を全うしなさい。

「あの、、」

私はずっと気になっていたことを聞いた。

「たくみは何をここでしていたのですか?」

たくみ、、?

あの男は、、

いや、あなたはあの男を愛していたのでしたね。

「私は、たくみの妻なのよ。愛しているのに決まってるじゃない。」

残念ながら、、

クワットはそういうと少し間を置いて。

たくみと名乗る男は大罪を犯してもうこの世にはいません。

「え?」

私は愕然とした。

あなたはあの男を知る必要はありません。

あなたはあなたの役目を全うしなさい。

(たくみ、、、あなたは何をしたの?)

私はクワットにそう聞こうとすると。

さあ、もう時間がありません。

あなたはここにきてもらいます。

強い頭痛が起きた。

うううう。

思えば私はこの地についてから

激しい頭痛ばかり経験していた。

もういいや。

早く楽になりたい。

流れに身を任せよう。

「うわわあああああ」

激しい頭痛とともに

私はこの世から消えた。






次の日、、。



「さあって仕事をすっか」

「ばあさん、わしは仕事に向かうよ」

「あいよ。気をつけて行ってらっしゃい。」

最近、雨が降らなくて困るんだよな、、

「今年も不作かな」

畑姿に身を変えた初老の男は仕事場に向かうのだった。

ポツン。

「おお。」

初老の男性に水滴が垂れて来た。

「ははは。

雨か。

降らないと思ったが、

降ってくれるか。

よしよし」

これで今年も大丈夫だな。

「さあてやるか!」





「お母さん。

これで良かったの?」

私は空にいた。

「うん。この地に住む人たちを幸せにしないとね」

「ふーん。」

「それに、ちょっとあの人にはお世話になったし」

「そうなんだ。」

「あ、」

私は東の方を見た。

「万引き犯を見つけたわ。よし」

次の瞬間、一人の警察官が現れ、見事に犯人を捕まえた。

「あの人にもお世話になったの?」

マリアは私にそう尋ねて来た。

「お世話には なってないけど、うーん。」

私は少し答えに戸惑った。

「でも万引き犯は捕まえないとね。」

「ふーん。」

「マリア、よくこの仕事を覚えなさい」

「うん」

「今の世の中、簡単な法律だけの力じゃ、誰も幸せにできないのよ」

「うん」

「私たち神が公平な目で見ないと、努力する人も報われない。」

「うん」

「心の綺麗な人も報われない」

「うん」

「悪い人だけいい思いをする世の中になってしまうの」

「うん」

「だからあなたも善悪が判断できる子になりなさい」

「わかったよ。お母さん。」

私は娘にそういうことを伝えた。

「あ、見てお母さん。」

「なに?」

「海が綺麗」

「そうね。」

、、、、、

マリアは少し黙った。

「どうしたのマリア」

「本当にお父さんは悪いことしたの」

「そうよ。」

「そうなんだ。でも元気にいてほしいな。」

、、、、

純粋な心がそう言うのだろう。

「そうね」

私は地を見て天を見た。

明日もいい日になるといいね。


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