【おまけ】ショートコメディ「盲点」
あの回答をルピニアが持ち帰ったらどうなるか。ifのショートコメディです。
※正式なエピソードではありません。
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ルピニア、止まり木亭に戻る。
店内を見回すがフィオナの姿はなく、冒険者登録の受付は無人のまま。
ルピニア「アトリ、フィオナはんおらんか?」
アトリ 「受付の時間まで、もう少しありますから。急ぎの用ですか?」
ルピニア「渡すもんがあってな。ま、来てからでええやろ。……そうや、あんたも読んでみ。けっこう面白いで」
アトリ 「はい? ……質問状? …………知らないことって、けっこうあるんですね。…………あ」
アトリ、きょとんとしながらルピニアの顔を見る。
アトリ 「ルピニアさん。これは全部、ジャスパーさん本人に聞いたんですよね?」
ルピニア「そうやけど?」
アトリ、紙に目を戻す。
アトリ 「……頭が良くて。くよくよ悩まなくて。お金遣いが荒くなくて。気が利いて。ずっと一緒にいてくれるひと……」
アトリ、吹き出す。
ルピニア「……? 変なこと書いとったか?」
アトリ 「わたし、全部当てはまりそうなひとを知っている気がします」
ルピニア「んっ? なんや、面白そうやな。誰や? 誰や?」
アトリ 「内緒です」
ルピニア「ケチなこと言わんと。誰なんや?」
ルピニア、にやにやと笑いながら肘でアトリを小突く。
アトリ、くすくす笑うばかり。
そこにエルムが通りかかる。
エルム 「どうしたの? ずいぶん楽しそうだね」
アトリ 「エルミィさん、ここを読んでみてください」
エルム 「……? …………これ、ジャスパーに聞いたの? …………あ」
アトリ 「どう思いますか?」
エルム 「……もしかして。アトリちゃんも、こういうひとを知ってたりする?」
アトリ 「そんな気がします」
アトリとエルム、くすくす笑う。
ルピニア「んん……? あんたらが知っとるっちゅうことは……」
ルピニア、怪訝そうに店内を見回し、にやりと笑う。
ルピニア「ははあ。分かったで。フィオナはんやろ? たしかに当てはまりそうや。盲点やった」
アトリ 「……」
エルム 「……」
アトリとエルム、ぽかんとしてルピニアを見る。やがて二人で顔を見合わせて吹き出す。
エルム 「盲点だね」
アトリ 「盲点です」
ルピニア「せやろ? こんくらい楽勝や。……悪いけど、さすがにフィオナはんは高望みやろ」
ルピニア、苦笑しつつ肩をすくめる。
アトリとエルムも苦笑。
アトリ 「うまくいきませんね」
エルム 「本当だね」
ルピニア「世の中そんなもんや。……ちょっと気の毒やけどな。フィオナはん知っとったら、他はたいてい見劣りするやろ」
エルム 「たぶん大丈夫だよ。ジャスパーは誰かと比べたりしないもの」
ルピニア「そんならええけど。……ま、ウチが口出すことやないし。幸運を祈ったるわ」
【自主企画用】登場人物にインタビュー! ジャスパー編 ベネ・水代 @Bene-Mizushiro
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