30.もしもあの、

 もしもあの時…雨が降っていたなら、兄は死ななかったかもしれない。


 もしもあの時…晴れていたなら、悠生さんは事故で足を失わずに済んだかもしれない。


 条件ひとつ違えば起きなかったかもしれない、防げたかもしれない事があったとしても…


どんなに“もしも”にすがっても過去は変えられないから。


 すべての悲しみを“運命”とかで片付けたくはないけれど……


――――見上げる空は、天色。


もしもあの、天色が奏多の嫌いな色であったとしても、きっと私たちは惹かれあったと、そう思いたいから。


END

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『もしも、あの天色が…』 きおり @sakata1209

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