近未来を予感させる世界観が魅力のSFミステリーがここに!

約20年前にアメリカやマスコミを震撼させ失敗に終わったと思われていた実験、通称「ルティア計画」が現代でも密かに行われていた……と主人公の香澄ちゃんたちが知り、それを阻止するストーリーです。

大きなポイントとして、「ルティア計画」で誕生した数名の子どもの存在だと思います。いずれも高い知能指数を記録する天才児ですが、精神錯乱や暴行行為を起こしやすいなどの問題点もあります。また計画を実行した2人の医師が子どもたちへ「NO.Ⅰ~NO.Ⅳ」と名付けていることから、彼らの狂気も感じられるような恐ろしい人間心理も描かれています。

そんな数名の子どもたちの暴走と計画提案者の2人の陰謀を止めるべく、香澄ちゃんたちが立ち上がります。心理学を専攻していた知識も存分に活かされており、犯行動機の考察や犯人像のプロファイリングなどの描写も見所です。

さらに「ルティア計画」の始まりとも呼べるきっかけが、「不妊」という私たちにとって馴染み深いものです。女性なら誰もが不安に思う内容なだけに、どこか近未来を感じさせるようなSF心理学ミステリー小説だと思います。

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