王妃様のお見舞いに行きました

 クラウスから話を聞いた数日後、俺とミファ、セイラ、クラウスはある所に来ていた。

「お母様のお見舞いに来ていただけるなんてありがとうございます」

「王妃様に会ったのは旅立ちの時だけだったからね、まさか旅に出てる間に体調を崩してるなんて知らなかったから」

「ミファは会った事あるのか?」

「うん、あれ?お兄ちゃんはいなかった?」

「俺は城の外で待たされてた······」

 そういえば、あの頃から俺って距離置かれてたんだよなぁ、ちょっと凹む。

 俺達が来たのは王妃様の実家で現在王妃様が療養している。

 因みにお見舞いを提案したのは俺だ。

 大体俺の提案にはミファは全乗っかりするから連れてくるのは容易い事だ。

 俺達は屋敷の廊下を歩いてある扉の前で止まった。

「此処が母上の部屋です」

 クラウスはノックをした。

「母上、クラウスです。勇者様が母上のお見舞いに来てくださいました」

「どうぞ······」

 部屋からはか細い声が聞こえた。

 俺達は扉を開けて中に入った。

 そこには顔色が悪い女性がいた。

「お母様、体調はいかがですか?」

「えぇ、今日はちょっと良い気分なのよ⁉️久しぶりにセイラとクラウスに会えるし勇者様にお会い出来るし」

「王妃様、お久し振りです」

「勇者ミファ様、旅立ちの時以来ですね。無事目的も達成されてありがとうございます」

 王妃様は笑顔で言った。

「王妃様、はじめまして。ミファの兄のダイナと言います」

「貴方がダイナさんですか? セイラからお話は聞いております。私『ルーナ・マジーナル』と申します。うちのバカ夫がとんだご迷惑をかけたそうで······、元気でしたら鉄拳の一発や二発を噛ましてやりたいんですが」

 ······うん、セイラの母親だ。

 儚い感じがしたんだが今の発言で吹っ飛んだよ。

「クラウスから話は聞いています。体調が宜しくないそうで」

「えぇ、長年の苦労が出たんじゃないか、と主治医に言われて薬を飲んでいるんですがなかなか治らなくて······」

「お薬、ですか······」

「お兄ちゃん、そういえば薬草に詳しいよね?」

「一応、な」

「今日はまだ薬は飲んでないんですが······」

 そう言って袋にいれてある物を見せてくれた。

 薬草を乾燥させ粉末にした物だが俺は匂いを嗅いですぐにわかった。

「王妃様、言いにくい事なんですが······、この薬に体調を良くする効果はありません」

「えっ!? どういう事ですかっ!?」

 セイラが驚いて聞く。

「薬草には独特な匂いがするんだがこの薬にはそれが全く無い。かといって毒の匂いもしない。これは只の草だ」

 俺の発言に全員が驚いた。

「なんでそんな物を母上に医師は処方していたんですか?」

「それは当人に聞いてみないとわからないが、まぁ何らかの意図があるのは間違いないな」

  

  

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

妹が勇者だったのでパーティに強制参加させられた挙げ句追放されました。 こうじ @hirasaku37

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ