彼が手にしていたのは、狂気と怨恨、殺意。そして一欠けらの……。

 凄惨な殺人現場から始まる作品。それをやったのは、かつて「悪魔の子」と呼ばれていた少年と思われた。
 少年はひどい虐待を受けて育った。そればかりではない。幼稚園に行けば苛めの対象となり、保育士までもが主人公にひどい仕打ちをする。そんな彼をそそのかしたのは、ある一人の男だった。少年は、男にそそのかされるまま大量殺人を犯し、服役。
 その後、大きな屋敷に引き取られ、一人の少女に出会う。少年は、もう空っぽだったはずの自分に、少女が自分の心に入り込んでいることに気付く。そんな主人公の前に、妖艶な女が現れ、少年は不可思議な能力を手に入れるが、それが地獄の入り口だった。
 少女の身に起きていたこと。自分を引き取ってくれた里親の正体。自分に優しくしてくれた人々の偽善。そして少年は――。
 少女を守るために少年が下した決断が、切なすぎる。そして何より、人殺しの主人公が持っていた、一欠けらの優しさに、胸が締め付けられる。

 あっという間に物語の世界に引き込まれました。
 惨殺シーンがあるのですが、苦手な小生でも読めるようになっています。
 まだ続くようですので、続きを楽しみにしております。

 是非、ご一読ください。