凄絶な過去を抱え、かろうじて生にしがみついている少年、川越健人。
似通った境遇の子供達が集う仮初の家も、贄として貪られるだけの牢獄に過ぎなかった。
絶望に押し潰され、寄る辺を失った彼のもとへ『それ』は現われた――
慄然とするような殺戮の饗宴の果てに、わずかな救いと一欠片だけの人間性を垣間見せ、物語は終焉します。
猟奇的な描写が多く、精神的にきついシーンが多々ありますが、高い文章力でするすると読めてしまいます。お陰で今朝、危うく電車を乗り過ごすところでしたw
ミステリー的な要素もありますので、残酷な展開に耐性がありそうな方は、是非ご一読を!
続編の構想もあるようなので、期待しています!
凄惨な殺人現場から始まる作品。それをやったのは、かつて「悪魔の子」と呼ばれていた少年と思われた。
少年はひどい虐待を受けて育った。そればかりではない。幼稚園に行けば苛めの対象となり、保育士までもが主人公にひどい仕打ちをする。そんな彼をそそのかしたのは、ある一人の男だった。少年は、男にそそのかされるまま大量殺人を犯し、服役。
その後、大きな屋敷に引き取られ、一人の少女に出会う。少年は、もう空っぽだったはずの自分に、少女が自分の心に入り込んでいることに気付く。そんな主人公の前に、妖艶な女が現れ、少年は不可思議な能力を手に入れるが、それが地獄の入り口だった。
少女の身に起きていたこと。自分を引き取ってくれた里親の正体。自分に優しくしてくれた人々の偽善。そして少年は――。
少女を守るために少年が下した決断が、切なすぎる。そして何より、人殺しの主人公が持っていた、一欠けらの優しさに、胸が締め付けられる。
あっという間に物語の世界に引き込まれました。
惨殺シーンがあるのですが、苦手な小生でも読めるようになっています。
まだ続くようですので、続きを楽しみにしております。
是非、ご一読ください。