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登場人物の信念を作る

人格の歪みを作る(どうぐ:メモ帳、古い専門書)

 ぼんやりキャラクター設定をしているとどうしても作者と似たような感じ方・考え方に偏りがちです。なので本を読んで強制的に違う価値観を輸入します。


 前述したMBTI、リーの恋愛類型。その他に「人格障害」をモデルにした、どんな考え方を持ちやすくどんな解決策に走りやすいかを設定することでキャラクターごとに行動を偏らせていきます。私の場合以下の九つに分類します。


 依存性。信念は「私は無力だ」。拒絶や遺棄を脅威とみなし、愛着により解決する。


 回避性。信念は「私は傷つくかもしれない」。拒絶や恥を脅威とみなし、人間関係の回避により解決する。


 拒絶性。「私は管理されるだろう」。自律の喪失を脅威とみなし、反抗的態度で解決。


 妄想性。「他人は危険である」。管理や操作を脅威とし、警戒で解決。


 自己愛性。「私は特別だ」。特権の喪失を脅威とし、自己強大化つまり強く素晴らしく見せることで解決する。


 演技性。「印象を与えなくてはならない」。無視や無反応が脅威なので、大げさな態度で解決する。


 強迫性。「私に誤りがあってはならない」。無秩序や不完全が脅威で、完璧主義により解決する。


 反社会性。「他人は搾取されるために存在する」。他者の優位を脅威とし、攻撃して解決する。


 スキゾイド性。「私には十分な空間が必要だ」。侵入と制御を脅威とし、孤立で解決する。



 人格障害をこの九つに分類することは時代遅れで、差別的で、大きな問題をはらんでいます。決して素人が現実の人間に適用してはいけない分類ですが、キャラクターを作る上ではめちゃくちゃ便利です。


 たとえば同じ口が悪い系ヒロインでも、依存性気質でかまってちゃんゆえ悪く言うのか、拒絶性気質で恋愛の主導権を握られるのがいやなのか、自己愛性気質で強がっているのか、反社会性気質のガチSなのかで掘り下げかたがだいぶ変わってきて楽しいです。主人公に「いい加減にしろ! そんなこと言ってる場合か!」と言われたときの反応がそれぞれ違うのが想像に難くないかと思います。

 もっと詳しく知りたい場合、1990年代前半の人格障害関連書籍をあたってみてください。



 『菊華繚乱ブーツトゥー』の場合、主人公は回避性の問題を抱えています。強すぎる靴フェチゆえに人間関係の話題を避けるうち、人間から精神的な距離をおくようになりました。

 ヒロインは両足を失ったことにより悲嘆に暮れ、人格が破壊されてしまい、まだ形を取り戻していません。でも強いて言うなれば依存性の問題を抱えています。醜い自分が拒絶される前に先手を打って拒絶し、傷つきから身を守ろうとしています。

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五万字以内の小説の作り方 千住 @Senju

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