野外音楽フェスに、フード(フェスご飯)で参加する若者たちの熱い青春が描かれてます。
主人公のコータくん、ツムギちゃんをベースに、年代を越えた熱い仲間たちが物語に深みをあたえていました。
フェスに参加するまでの道のりや、参加してからの彼らの苦悩、フェスとフェスご飯への愛。
何より、仲間たちが同じ気持ち(お料理)で強く繋がっているところに感動します。
作者さんのお料理の知識もすごくて、こちらを読むだけで少しお料理上手になれた気が?!
筆力は勿論のこと、アイデアいっぱいの構成力に圧倒されてしまいました。
笑って、ジーンとして、熱い想いを感じられる作品です。彼らの一員になったつもりで、一緒に楽しんでみませんか。
本作の舞台になった音楽フェスに限らず、人が集まりそうな所に屋台が出店するのは当たり前の風潮です。同人誌即売会、Jリーグ、オフィス街のランチタイムの人出もこのカテゴリーに含めていいのかもしれません。
そうした「キッチンを併設せずに料理を出す店舗」の内幕を垣間見ることができる作品です。
が、それだけに留まらず、「ウチら」的地元の仲間のフットワーク、生みの親より育ての親(ならぬ兄妹)、最近の食フェスへのチクリとした警告も忘れていません。
本レビューのタイトルにも使った「料理バトル(物理)」がとても気に入りました。この後スタッフがおいしくいただ……けないなぁ、どう考えても。
都まんじゅう、のっぽパン、もんぱりetc……何やらなつかしい食べものが並んでいるなと気になっていた『飯テロリストの日記帳』。
ご当地グルメエッセイかなと思って読み始めたのですが、読み終わる頃には、本編『フェスめし!!』への興味が沸々と湧いてきていました。
よし、読もう!と、副読本から本編へと流れていったところ、「!」の乱れ飛ぶ勢い溢れる“フェス飯”に、すっかり魅了されてしまいました。
富士山のなだらかな裾野に広がる高原にあるのは、美味しい空気と美味しいごはん、そしてフェスの熱気!
読めばフェスに行きたくなる、そんな胸熱な物語です!
ハッシュタグには豪快な言葉が並んでいますが、
これぞ正しき『みんなで作り上げる地元のいいお話』
そして飯テロヒーローものです。
地元のイベントにドサマギのつもりが当事者になり、
クールなヒロインと頼りになる仲間、
そして小並感(キャラ本人はラスボスのつもりかも)な敵と相対し、
余韻のラストまで。
見事です。
イベントに挑む飯テロ戦隊ですね。
お腹が空いたので角煮を作りたくなります。
そしてわしわし食べてイベントに行きたくなります。
主人公のポジティブ人間コータにチラチラと脆い面を見え隠れさせているのも効果的。
前向きになれるし、背中を押してくれる作品。
(関係ないですが、主人公の名前に某有名作曲家を思い出して喜んでいました)
朝霧JAMという音楽イベントがあることを初めて知った。
静岡県富士宮市の朝霧アリーナで10月初旬に開催される、
音楽とキャンプと地元の食べ物を楽しめるイベントらしい。
お も し ろ そ う ! !
本作は、そんな朝霧JAMにフェス飯店舗のスタッフとして
ガッツリ参加することになったコータとゆかいな仲間達の、
一筋縄ではいかないハチャメチャな奮闘劇を描いている。
飯テロとカクテルと青春群像劇と飯テロと結婚式と音楽と、
地元銘菓とB級グルメと飯テロと富士山と大乱闘と飯テロ。
みたいな感じで、とにかく飯テロだからイイ話なのである。
どのくらい本気の飯テロか? カクヨム公認レベルである。
2017年に開催された富士見L文庫の短編小説コンテストで、
吉岡梅氏は『炊飯器の中の宇宙』で飯テロ部門を受賞した。
『フェスめし!!』のタイトルから受ける印象のとおりに、
ストーリーにもキャラクターにも勢いがあって、痛快だ。
フェスに出演するバンドも何か心当たりがあって、ニヤリ。
とにもかくにも、今年、本気で朝霧JAMに行ってみたい!
富士宮やきそば! うし! ぶた! ビール! お菓子!
というノリを共有したいので、皆さん読んで仲間になって!