少年・少女たちが交代で主人公となり、それぞれの視点で物語を作り出す群像劇です。
どの主人公も楽しく個性的で、グイグイ読めてしまいます。
子供から大人への過渡期にいる彼らが、変わらなければいけないものと、ずっと変わって欲しくないものを、探しては見つけていくストーリー。
それぞれの綴る、若々しい爽やかな視点が作品を魅力的に彩ります。
身内の死を見つめ続ける少年。
少年が書いた未完の小説を、音楽へと昇華させる少女。
決して変わることのない、仲間を傷つけることを許さない正義感。
たくさんの小さな光が心地よく絡み合いながら、「岩田屋町」という大きな物語を作り上げていく。
気がつくと、この世界にどっぷりとハマってしまいます。
現代の青春ドラマがお好きな方に、自信を持ってお薦めできる作品です。
流れるような文章が、自然に心の中へと入ってきて、琴線に触れるのです。
読むたびに感じる清涼感。
登場人物ひとりひとりがとてもナチュラルに、しかし魅力溢れて描かれ、いつの間にか作品に引き込まれていきます。
丁寧に編み込まれた物語にも拘らず、決して描き切ることなく読者の心の自由をもたらす行間。
何より特筆すべきは、わたしは現代小説や青春小説を読むことが苦手で忌避してきたにも関わらず、長編を読了して、レビューを書き絶賛していることでしょう。
素晴らしいです!
岩田屋町が好きになりました。
そして、作品の作者である郷倉四季様へ。ありがとうございます。作品を生み出していただいたことに感謝を込めて。
素晴らしい作品と出会えるカクヨムにも感謝します。
突然、姉を亡くし
喪失感の中でもがく主人公が
その姉の為に小説を
書き出す事からストーリーは動き始めます。
書くことは癒し。
常々私はそう思っているのですが、
彼は癒される事さえ拒否している感じでした。
癒される事は姉を忘れてしまう事だと思ったからでしょうか。
でも、話はそこでは留まらず
彼の書いた小説によって、
色んな方向へとポップコーンの様に
話が弾けて行きます。
ある時は青春
ある時は恋愛
ある時はミステリーから暗い過去へ
そして、ある時はバイオレンス!?
とにかく色んな要素が詰め込まれた
お話。
ジャンルは?と聞かれると困ってしまうくらいです。
登場人物の視点が章によって、
変わっていくことも
魅力的でした。
1人で生きているつもりでも
何かのきっかけで
人と繋がり、
それは知らない間にも更に繋がっていく。
そして、誰かが誰かの救いになっている。
爽快感溢れる、
ジャンルの垣根を超えた小説でした。
悲しんでいたのに、
次の瞬間には
ドキドキして、ワクワクして、ハラハラする。
色んな感情が次から次へとやってきては、
忙しかったです(笑)
喜怒哀楽、全て味わいたい
そんな欲張りな方へオススメです!!
ちなみに私は
ハラハラゾーンから加速して一気読みしました。