ラドベルへいらして
ヒルサキツキミ
あぁ、ジオ。あなたはいつも私を見失うわね。ジオと心をつなぐ鎖を揺らしてみる。
カチャン....。
そんなに劇的な再会を演出したいのかしら。いくらわたしたちが倦怠期だからって、500年もやればさすがに意味無いわよ。
カチャン....。
ずっとそばにいるか、いっそ死んでくれればいいのに.....
ー
左手の薬指に意識を向けてみる。ジオがくれた新しい枷、その手を目の前に透かしてみると向こうに闇が見えた。
あぁ、やっと見つけた、私の体。
私は闇に向けて駆け出す。闇に近づくにつれて街灯の並ぶレンガの道が見えてきてその街の中に少女の影が見えてきた。小柄で華奢な長い黒碧の髪の少女を境に、向こうは闇のなか、私の方は光の中にあり、人に見える世界と見えない世界の境界の向こう側に少女は立っていた。私が境界線にたどり着くと少女はこちらに振り向いて手を差しのべてきた。
この境界線を越えるのもどれくらいになるかしらね...。いい加減面倒なのだけど、「この手の先にあなたがいる」、その瞬間に憧れて、私はまた闇の中に戻っていく。
アルスノドア 夕浦ミラ @Uramira
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