ひたすら哲学的に恋愛を考える主人公が、あまりにも滑稽で、そして切ない。

 文学的な語り口で進むこの小説は、読み始めた時には「これ、本当にラブコメ?」と思ってしまいますが、読み進めていくうちに、この物語がなるほど確かに「コメディ」であると感じるようになります。
 主人公に、おちゃらけた部分は一切ありません。しかし反対にそれが読み手には滑稽に思え、そこにヒロインの儚さと健気さが加わることで、「切なさ」がこみ上げてきます……
 って、いや、もうこんな下手なレビューでは紹介できない魅力がこの作品にはあります。多くの方に読んでいただきたい「ラブコメ」だと思いました。