いい事なんてひとつもない。疲れ切った医療事務員の明丸は線路に身を投げて……
気性の荒い天使に突き落とされて落ちた先で、天使のような女性ユアと出会う。いきなりの異世界で混乱していたものの、これにはラッキーと思っていたのも束の間。彼女が営んでいる薬局カナリスは借金まみれだった!
天使系ほんわか天然娘のユアは薬を魔改造しているし、協力的な友人たちも一癖も二癖もあって、そんな彼らに翻弄されながら、自信がなくコミュ障だった明丸ことアキマルも事務で培った医療知識を使って、借金返済のために奮闘する。
仮面で顔を隠している魔王や猫娘シナモン、頼りがいがあると思ったら百合豚だった人狼など、多彩なキャラクターたちが登場し、賑やかに、またシリアスな面も見せながら物語は展開する。
アキマルと弟の関係は? 仮面の魔王は一体? ユアとの恋の行方は?
簡潔で流暢な文章は脳内ですんなりイメージでき、楽しく読み進めることが出来ます。主人公が医療事務員だったこともあって、生活に根差した医療知識が参考になって面白い。
友達に恵まれなかったアキマル、転生した先でどう活躍していくのでしょう。
はたして借金は返済できるのか。
コミカルに、でもちょっぴりシリアスさも忘れない、爽やかな成長物語です。
多忙なスケジュール、ヒステリックな上司。現代社会の闇が凝縮されたような職場に草臥れ、自ら命を絶ってしまった、医療事務員の主人公、明丸。
行くのはあの世かと思いきや、自ら命を絶つという大罪に罰を与えるべく現れたのは、女神でもジジイの神でもない、野郎のガラの悪い鬼畜な天使。
別の世界で人生をやり直せと、パラシュートも無しにお空から蹴落とされ、落ち先に広がっていたのは――。魔界とご近所の、それはのどかな港町だった。
天使はこっちなのではないかと思わせる、可愛い薬剤師のユアに助けて貰うものの……。「何だい君の薬局死にかけだねえ!? 潰れるんじゃない!?」な、借金に塗れた虫の息状態。オマケにその借金返済を、何故だか明丸が手伝う事に。何でやねん。それは読んだら分かんねん。
ほのぼのとしながらも、恐る恐る見知らぬ世界へ踏み出して行く明丸の姿を、皆さんも応援してみませんか。面白いですよ。
小さな勇気で走り出す、まったりとした異世界モノです!