面白かったです! ←冒頭で言いたいくらいに。
ラノベ好きな主人公と、同じく文芸部の、こちらはミステリー好きな女の子をメインに物語は進んでいきます。
ふたりの気持ちは頑なでお互いをなかなか認めようとしませんが、ある些細な問題が起こり仲たがいしてしまいます。
そこからのエピソードが、本当に泣けるお話で感動しました。
こちらの作家さん特有の爽やかな文体と最高の掛け合い。それから説得力のある内容とで、思いっきり物語に入り込み夢中で読めてしまいます。
『文章で世界を見せ、そして読者に魅せる』
作中のフレーズですが、皆様にもそれを感じて頂きたいなと思います。
男子高校生・宮藤修也は、異能バトル系や異世界ファンタジーなど、可愛いヒロインがいっぱいでてくるラノベが大好きなラノベオタ。一方、同じ文芸部の二階堂絵理奈はガチガチのミステリーマニア。
当然ながら、二人の好みが一致するわけがなく、文芸部の読書感想会は、いつも口喧嘩になるのだけれど、ラノベ好きな読者には二階堂の正論がグサグサと突き刺さる……。
ラノベ主人公が最初から最強チートだったり、パンツ見られたのに美少女が惚れてきたり、文章が薄っぺらかったり、確かにご意見ごもっともなんだけど、男の子はそういうラノベが大好きなんだよ!!
何故、宮藤がラノベに執着するのか。何故、二階堂がラノベを拒絶するのか。そこには悲しい事情があり、二人の過去にクローズアップしていく展開が切なく、泣けるのだ。
正反対のようでいて、小説への情熱を認め合っている二人の関係が甘酸っぱく。毎回の書評バトルも、いつか自分の本当の気持ちを告白するための真剣勝負だ。
宮藤のラノベ愛と二階堂のミステリー愛、先に相手に伝わるのは、果たしてどちらの愛か。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)
この作品はラブコメを目指して書かれていますが、相反するジャンル愛を持つ文芸部の少年と少女が相手にそのジャンルの良さを分かって貰おうと奮闘する学園ジャンルラブストーリーです。↑一部語弊有り
ラノベが大好きな宮藤修也少年はその魅力を世界に拡める為に、ラノベが大嫌いなミステリー好き少女、二階堂絵理奈をラノベ好きにさせようと奮闘するが……どちらかと言うと、二階堂さんの方が主人公にミステリーの良さを理解してもらう為に頑張ってます。
ラノベ押しと思わせといて…アンチラノベの要素も有りつつ、ミステリーを凄く押して来ます。ミステリー好きからすれば語るまでもなく理解出来るのですが、主人公の少年は頑ななまでにミステリーを否定します。
前半部の学園ドタバタ劇から一転して中盤からはミステリーさながらの怒涛の展開に、ミステリー好きはその展開形式に歓喜。ラブコメラノベ好き読者はやや困惑するかも知れませんが、ラノベvsミステリーの構図からすると、ある意味それが正しいとも解釈出来ます。
ミステリーの様な伏線はありませんが、中盤以降の怒涛のキャラの掘り下げはミステリーの真相解明パートの様。
それぞれが抱く過去、そして…それに至る動機が語られた時、ラブは動き出す…。
そして主人公…昔の方が性格が良いというミステリー。ラノベ嫌いのヒロインの方こそ実は的な展開……僕らが昔、ラノベを読んで感銘を受けたあの頃の感覚を思い出させてくれるそんな作品です。
個人的にコメントでも書きましたが…作中作などの具体例があればもっと好きが伝わってピンと来たかも知れません。
ミステリー食わず嫌いなそこのあなた…何もお堅いミステリーだけじゃなく、ラノベ感覚で読めるミステリーもありますので、この機会に彼等が語った好きを、食わず嫌いにならずに探してみてはどうだろうか?
ラノベ好きはミステリーを。
ミステリーマニアはたまにはラノベで息抜きでもどうかしら?
貴方の昔感動した大切な一冊を思い出してみよう。
(そう言えば私は…桜庭一樹先生のラノベ、ブルースカイでした。)
主人公はラノベ大好きの男の子。
文芸部には個性豊かな女子たちがいるが、メインのヒロインはミステリー好きの女の子。
主人公は女の子にラノベを読ませようとし、女の子は主人公にミステリーを読ませようとする。
なぜ、ミステリーを読めないのか? なぜ、ラノベじゃだめなのか?
読み味としては、文芸部の中のドタバタ会話劇といった感じ。でも、ミステリー vs ラノベ という二項対立でキャラクター達が議論しているところで、僕としては、ちょっぴり、創作やジャンルについて考える切っ掛けになって、ジャンル「創作論・評論」の作品とかをチラ読みするときのモードに頭が切り替わったりしました。(ちょっぴりデスヨ〜)
後半の「何故、二人はそうなのか?」というようなところの展開は、普段からミステリーを中心に書かれている桐華さんらしい展開で、ある種の「らしさ」を感じましたねー。
なんだか、無限に続けることができそうな作品ですが、これにて完結ということで、兎にも角にもお疲れ様でした〜!
構えること無く、ゴロニャンと、寝っ転がって楽しめる作品かとおもいます!