はみがき魔法と琥珀色のプログラミング
吉岡梅
書くのが嫌になってしまっています
やあ、こんにちは。はじめまして。これから魔法とプログラミングの話をするのだけれども、その前にちょっと聞いてくれないかい。
なぜ、僕がこのお話を書き始めようとしているかという事を。
実は、僕は文章とかプログラムとかを書くのが仕事なのだけれども、書くのが嫌になってしまったんだ。しまっているんだ。現在進行形なんだ。でもね、書かないわけにはいかないんだよ。だって、お仕事だからね。書くことをやめたら、お金が入ってこなくて死んじゃうんだよ。いくらなんでも、まだ死にたくないからね。きっと僕はそのうち書くことになるんだ。それは間違いない。こう言って信じて貰えるかどうかはわからないけれど、こう見えて僕は、結構真面目な所もあるからね。
でも、じゃあ、今すぐ書けるかっていったら、それは難しいんだ。実際ね、もう目次はできてるんだ。章立ても決まっていて、テーマも整理できている。〆切も決まっていて、お尻を叩いてくれる担当さんだっている。君は担当さんからやんわりと、進捗どうですか? って知らせを貰った事があるかい? 無いのなら幸せだ。あるのなら、ドンマイ。
話はそれたけどね、つまり僕は、今、書きたくないんだ。書こうとしても手が止まってしまって、なにか、うっ……という感じになってしまうんだよ。僕の中の一部が、しっかりして下さい。お仕事ですよ。と言うんだけれども、その言葉で動くのは、罪悪感メーターくらいなんだ。そして、ぐっと上がった罪悪感の重さで、ますます手が止まってしまうんだ。つまりは、悪循環なのさ。やっかいだね。
そこで僕は考えたんだ。書けない時はどうするのか。君たちはその答えを既に知っていると思う。そう、書けない時はね、書くんだよ。なんでもいいから、手を動かすんだ。
僕は、お話を書くときは羽ペンでも万年筆でもなく、キーボードで書くんだけれども(もちろん、この文章もね)、とりあえずポチポチとボタンを押して文章を書くんだ。どんな文章でも構わないけど、お仕事に関係するのを書くのは嫌だ。人の悪口とかも嫌だなあ。
悪意ってのはいったん発しちゃうとするりと逃げ出して、ひとところに溜まっていっちゃうからね。だからカプセル化しておいた方がいいんだよ。そうじゃないと、どんどん集まって大きなバグに繋がって、システムをクラッシュしてしまう事にも繋がりかねない。
おっと、また話がそれちゃったよ。ごめんごめん。で、何の話だったっけ。そうだそうだ。書けない時は書くって話だったね。
そうなんだよ。手を動かすとね、人間って単純だから、なんだか「あれ、このまま手を動かしてもいいかな」って思うんだよ。さっきまであんなに億劫だったのにね。
ジョギングを始める時にも、「行くのやだなあ」って思ってたのに、準備運動してるうちに、「あ、行けるわ」ってなるのと同じ仕組みなのかな。ともあれ、そんなわけで、気晴らしと景気づけのために、何かを書くことに決めたんだ。
それで何を書くかって考えてね、魔法とプログラミングの話に決めたんだよ。本当のことを言うと、これは僕のお仕事にちょっぴり関係するんだ。さっきは、お仕事に関係する事は書きたくないなんて言ってごめん。あれ嘘。結局、僕程度の器だと、お仕事から完全に離れられないんだろうね。せちがらいよ。
だけどまあ、悪くない思い付きだと思ってるんだ。だからね、仕事に詰まったらちょくちょく書いていこう、……っていうか指を動かしに来ようと思っているんだ。もし見かけたら、気が向いたら読みに来てくれるとうれしいな。やっぱりせっかく書くんだから、誰かに見て貰える方がベターだよね。とはいえ、なにせ指の運動が主目的だから、先の事とか何も考えてないし、どこかに下書きしてるわけでもない一発書きって奴なんだ。クオリティはお察しして下さいって感じさ。
でもね、コンパイルを待つ時間くらいの暇つぶしにはなると思うよ。逆に言うと、それくらいが丁度いいくらいの話になると思うんだ。
うん、書いてるうちに、だいぶ物を書くモードを取り戻してきたみたいだ。じゃあ、今日はこのくらいにして、お仕事に戻ろうかな。今がチャンスな気がするよ。付き合ってくれてどうもありがとう。あとはコーヒーを入れて、カフェインの力に頼ってみるとするよ。
結局、肝心の魔法とプログラミングの事については全然書いてないね。ごめんね。それはまた今度書くよ。
もし、続きが書かれていなかったら、その時は、仕事に嫌気がささずに順調に行ってるんだな、って思って欲しい。僕もそう願うよ。
でもたぶん、そのうちまた書くことになるんじゃないのかな、って僕は思ってる。だって、こう見えて、僕って本当に駄目なヤツだからさ。
それじゃあ、またそのうちね。Cya!
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