プロシージャ・マジックとマナ管理

 ちょっと聞いてよ。今日は2章分も書けたんだ。いやあ、凄い頑張った。書ける日ってのは書けるんだね。すごいよね。でもさ、こういうのを凄いって思えるのは、書けない日があるからだよね。書けなくてキツイ日があるから書ける日が凄く思えるっていうかね。メリハリだよね。君の国だとハレとケって言うんだっけ? そう、それ。


 そこ行くと日曜日考えた人って凄いよね。だって休みなんだよ。今は土曜日もそうか。うん。休み。休みがあるおかげで、休みじゃない日は休みの日の事を楽しみに頑張れるんだもんね。これがさ、休みが無かったらどう? 頑張るための出っ張りがなくなっちゃうじゃん。つるつるじゃん。掴まる物も縋る物もないじゃん。もうさ、きっと辛いとかも思わないでずっとフラットな気分になるんだろうね。今もこの先もずっと変わんないや。今日も平常運転っていうか、平常運転って概念さえ生まれないんだろうね。だから日曜日考えた人はほんと偉い。特に僕みたいなダメダメな人間にとっては神様だよ。


 で、なんの話だっけ? あ、そうそう。魔法とプログラミングだ。ごめんねいきなり脱線して。あんまりにも嬉しくてさ。今日は書かなくていいかな、って思ったんだけど、書けすぎるからこっちも書いちゃえ~! と思ってね。そのままお仕事の方を書き続けないのが僕の悪い所なんだろうね。うん。わかってはいるんだけどね。


 ああ、ごめん。また脱線しちゃった。そう、魔法の話だ。そうだね、君も良く使ってるプロシージャ・マジックの事を話そうか。


 コモン・マジックは、「全部書く」って話したよね。プロシージャ・マジックも全部書くには書くんだけどね、「は型に嵌める」っていう書き方なんだよ。わかるかな?


 ほら、対戦するときってさ、絶対光の矢ライトニング・アローとか炎の球ファイア・ボール打つじゃん? 何発も。だからさ、どうせ打つんだし、光の矢を作る決まり切った手続き部分プロシージャは一旦書いたら目印付けといて、もう一回打つときはそこを読みだすだけで済むようにしよう、っていうスタイルなんだよ。


 このスタイルのメリットは、とにかく手軽だってことだね。だってさ、いまどきだったら、プロシージャ部分は自分で作らなくてもいいんだもの。他の魔導士が詠唱を封じた巻物スクロールを嵌め込むだけで準備完了さ。スクロールを買うお小遣いが無かったら、頑張って丸暗記して唱えたって良い。意味なんかわかんなくても平気さ。そのプロシージャを呼び出した時に、何が起こるかさえ承知してれば問題ないよ。


 ただ、デメリットはあるね。ぱっと考えて2つくらいかな。ひとつは、小回りが利かないこと。あらかじめ予想していた手続きと少しでも違うと、ちょっとズレちゃうんだよね。言ってみれば、S/M/Lの3サイズの服しか無くてさ、どれかを選ばなくちゃいけない時の悩みに似てるね。オーダーメイドじゃないからさ、僕みたいな女にしては身長が高すぎるような連中にとっては、悩みの種なんだよ。サイズ合わないし、合っても可愛くないしさ。ほんと困るよね。ま、オーダーメイド頼める稼ぎが無いからしょうがないんだけどさ。


 ああ、ごめんごめん。えーと、デメリットの話だね。もうひとつはさ、こういう「呼び出し型」の処理に共通の弱点なんだけどね。君、ハック・スタイルは知ってる? うん、そうそう。自分のリソースを運用して勝利を狙うんじゃなくて、相手のリソースへアタックを仕掛けて、罠を張ったり、破壊したりするスタイルの事さ。物騒だよね。僕はあんまり好きじゃない。


 でね、プロシージャ・スタイルは、「決められた場所アドレス手続きプロシージャを詠みあげる」じゃない? じゃあさ、その「場所」の情報をハックしたらどうなると思う? あるいは、その「場所」に書いてある呪文を書き換えられたとしたら――。


 そう、自分が全然意図してなかった詠唱が発動して、下手したら自滅しちゃうんだよ。スキルのある魔導士ハッカーなら、アドレスを単にずらすだけでなく、あらかじめ実行したいコードを上書きした場所を狙い撃ちすることもあるんだよ。そうすれば、手持ちのマナだけじゃ足りないような攻撃も、相手のマナを利用してできちゃったりするからね。例えば、……はい。僕に光の矢を撃ってみて。うん。大丈夫だから。


 ……ね? 大丈夫でしょ? ふふふ、びっくりした? アドレスを変えて、シャボン玉を出す箇所に読みだし開始位置ポインタをずらしたんだよ。ふふふ。元に戻しておいたから大丈夫だよ。


 そうそう、だからね、君がこのスタイルの相手と戦う時は、そんなに気張る必要ないんじゃないかな。弱くはないけど、強くもない。良くも悪くも、普通の相手だと思うよ。もちろん、用意するプロシージャと使用タイミングのセンスがある相手は手強いけどさ。平均的で万能型のスタイルだから、正直言って、特に有効な戦術って無いんだよね。


 相手がどうこうよりも、自分のストロング・ポイントを押し付けて勝つようにすればいいんじゃないのかな。わかんないけど。


 あれ、もうこんな文字数だ。今日はマナの事についても書こうと思ったんだんけど、もう頃合いだね。それはまた今度にしよっか。え? タイトル詐欺だって? ごめんごめん。だって勢い任せで書いてるからさ、そういう事もあるよ。本当につきあってくれて君には感謝してる。


 それじゃあ、またね。明日は日曜で休むつもりだから、続きは月曜以降になるんじゃないかな。Cya! 

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