神とは何か、女神とは何なのか、私とは……死を司る銀髪赤眼の女神・ウィヌシュカが、世界に対して疑問と憂いを持ったときから、世界を統べる主神と呼ばれる神々に抗い、世界を創りかえていく運命の歯車が回り始めます。
転生を司る女神・リュイリィに、再生を司る黒髪の女神・ライラ、破壊を司る女神・クロードたち女神も魅力的で、次第に結束を強めていく女神たちの戦いを、流麗な文章が彩っています。特に、ウィヌシュカへ想いを寄せるリュイリィとのやり取りは、心を揺さぶる切なさと甘やかさがありました。
世界そのものに反旗を翻すような彼女たちが、どんな道のりを歩んでいくのか。創作神話ダークファンタジーの終着点を、ぜひ見届けていただけたらいいなと思います。おすすめです。
タイトル、カテゴリ、あらすじ等、どれか一つでも興味を惹かれた方には是非とも読んでいただきたい、期待をいささかも裏切らない素晴らしい作品です。
ライトな作品に人気が集中するカクヨムの傾向からするとなかなか評価されない内容なのかもしれませんが、こんな重量級の傑作が無料で読めてしまうのは本当にありがたいことです。
北欧神話に材を取った長編ダークファンタジー……と要約してしまうにはあまりに濃密で絢爛たる文章の輝き。
各話タイトルも秀逸で、読む者のイマジネーションをこれでもかと喚起してくれます。
最後に一文だけ抜粋を……↓
これは、神々の創作神話である。
願わくば、どうか傀儡たちに愛を──。
北欧神話をベースに、壮大なストーリーが展開されていく、ダークファンタジーです。
物語の主軸となる死の女神・ウィヌシュカが『この世界への猜疑』を抱いたことがきっかけで、淡々とした殺戮の日々は不穏の影を纏い、不穏の影はやがて彼女の輝きを覆い尽くすほどの闇となっていきます。
先の見えない暗黒に魅せられて物語を追っていけば、待ち受ける衝撃の展開の連続に更に深みに嵌っていく……の繰り返し。
この作者様は、物語も文章も何もかも本当に吸引力が高い!
苦悩に落ちたウィヌの痛々しさは筆舌に尽くし難いほど美しく儚く切なく、また彼女に大きく関わる他の個性溢れる女神達の思惑や、交差しては解けて散る『真実』の行く末からも目が離せなくなります。
迫力ある戦闘シーンも推しポイント。
特に詠唱では作者様独特のクールでスタイリッシュなルビが輝き、つい自分も唱えたくなってしまいました。
混沌を極めた世界が滅亡した先には、何があるのか?
そして闇に咲く花のように無垢ゆえに残酷な愛の果ては?
世界の終わりと始まりを目にし、新たな神話の証人となったような感覚に感動必至の、素晴らしい作品でした。
最後に…………結婚式はまだですか?(笑)
とか言いましたけど、実際にはこの物語はシリアスで重厚なダークファンタジーなんですね。
北欧神話を下敷きにした壮大なサーガ、そして女神たちのジェネシスですよ。
本格派の重いヤツはちょっと胃もたれするんで……とか言ってるおまえ、太田胃散はいいからそこに座れ。
作中に登場する“神具”なるファンタジー器官をくすぐるガジェット(というとSFっぽいですけど)や、四天王とも言うべき4人の女神たちの程よく現代ナイズされた描き方など、これはダーク&シリアスの服を着たエンタメ・ファンタジーなんですね。
それにそもそも北欧神話なんてみんな好きだろ?
千年王国の崩壊から世界を統べる主神の最期……黄昏の世界を駆け回る女神たちの中にきっとあなたのお気に入りが見つかるはず。
いいコ、いっぱいいるんで!