ウィヌシュカは生命を愚弄する。

作者 睡蓮たしぎ

90

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★★★ Excellent!!!

ダークファンタジー、ハイファンタジー、さまざまな形容があろうが、手っ取り早くこの物語を表すならば、神話という語を用いるのがよかろう。

作者による特有の語感を駆使した深淵の世界は、踏み入れた者に脱けだすことを許さない。

世界を疑う。そのことが、やがて世界のあり方そのものについての猜疑と、個我と衆がもたらすレバレッジへと注視点を誘う。
そして帰結するは、やはり個の意思へ。

もはや神話。
北欧神話をベースにした描写や語彙が表れることは誰にでも知れようが、その神と人の心と魂にまで筆を至らせる当作、秀逸と言う以外に賛辞の仕様もない。

★★★ Excellent!!!

北欧神話をベースに、壮大なストーリーが展開されていく、ダークファンタジーです。

物語の主軸となる死の女神・ウィヌシュカが『この世界への猜疑』を抱いたことがきっかけで、淡々とした殺戮の日々は不穏の影を纏い、不穏の影はやがて彼女の輝きを覆い尽くすほどの闇となっていきます。

先の見えない暗黒に魅せられて物語を追っていけば、待ち受ける衝撃の展開の連続に更に深みに嵌っていく……の繰り返し。

この作者様は、物語も文章も何もかも本当に吸引力が高い!

苦悩に落ちたウィヌの痛々しさは筆舌に尽くし難いほど美しく儚く切なく、また彼女に大きく関わる他の個性溢れる女神達の思惑や、交差しては解けて散る『真実』の行く末からも目が離せなくなります。

迫力ある戦闘シーンも推しポイント。
特に詠唱では作者様独特のクールでスタイリッシュなルビが輝き、つい自分も唱えたくなってしまいました。


混沌を極めた世界が滅亡した先には、何があるのか?

そして闇に咲く花のように無垢ゆえに残酷な愛の果ては?


世界の終わりと始まりを目にし、新たな神話の証人となったような感覚に感動必至の、素晴らしい作品でした。





最後に…………結婚式はまだですか?(笑)

★★★ Excellent!!!

睡蓮さんの作品に通じる言葉遊びの一環はしばしば読む者を選んでしまう。内輪ノリにも似た、悪酔いのような遊び方は興醒めしてしまう身にとっては、この作品は絶妙なバランスで成り立っている。だから読みやすかったし世界にグイグイと脚を取られ惹き込まれてしまった。

三人称に操られながら、それぞれのキャラクターがそれぞれに産まれ出づる役割を持ち、それを全うしつつ作中で生き生きと輝いた姿が描かれている。
たとえ、弱々しく醜くあったとしても美しい姿である。
(登場人物すべてがそれぞれに好きだ)
人が個人でなくなる時、所属することによって視える必要悪がどの世界にもあるのだと。
その中で個人が正義を貫く難しさと孤独さ、また尊さ、そんなものが作品の裏に込められているよう思った。

書く作品がどのジャンルであれ、絶対的な物質や概念が壊れるとき、物語は発生すると云うことを書き手として改めて強く感じさせてくれる作品でもありました。
書籍になっていてもおかしくない気がする、それくらいの作品です。
一読者として完結を楽しみにしています。

★★★ Excellent!!!

とか言いましたけど、実際にはこの物語はシリアスで重厚なダークファンタジーなんですね。
北欧神話を下敷きにした壮大なサーガ、そして女神たちのジェネシスですよ。
本格派の重いヤツはちょっと胃もたれするんで……とか言ってるおまえ、太田胃散はいいからそこに座れ。
作中に登場する“神具”なるファンタジー器官をくすぐるガジェット(というとSFっぽいですけど)や、四天王とも言うべき4人の女神たちの程よく現代ナイズされた描き方など、これはダーク&シリアスの服を着たエンタメ・ファンタジーなんですね。
それにそもそも北欧神話なんてみんな好きだろ?
千年王国の崩壊から世界を統べる主神の最期……黄昏の世界を駆け回る女神たちの中にきっとあなたのお気に入りが見つかるはず。
いいコ、いっぱいいるんで!

★★★ Excellent!!!

第三章まで拝読しての感想です。

生命とは、善悪とは、神と人間とは。
哲学的な問いが娯楽性を伴った、大きな物語世界に展開され、その作品世界を成立させる筆力も素晴らしいです。
主人公、死の女神、ウィヌシュカにキャラとしての魅力を強く僕は感じます。
でも、物語世界の強度が強い分、読み手を選ぶかもしれません。
好きな方はどっぷりハマる気がします。
でも、本来創作はそういうものだと思うのです。
変に傾向と対策を練るなら(結果が出るくらい練るならそれは立派)、書きたい、書かずにいられない物を書く、その姿勢に特に感銘を受けました。

★★★ Excellent!!!

死を司る女神ウィヌシュカは、厳かにしてどこか儚く危うい。圧倒的な武力と、乙女のような壊れやすく繊細な心を併せ持っている。
そんな彼女に付き添うのは、転生を司る女神リュイリィ。彼女たちの仕事は、死と転生。今日も彼女たちは、ただひたすらに魂を刈り取り、三柱の主神と呼ばれる上位の神へ貢ぐのみ。

そんな生き様に疑念を抱き始めたのは、人間である聖騎士団団長が纒う魔銀製の武具からであった。そこから繋がってゆく、竜人。そして、その他の女神らの暗躍。
生命の原木ユグドラシルに抱かれた地にて、人間界と意を異にして産まれる、女神が奉りし新世界ヘルヘイム。天界、冥界、精霊界の庇護の元にはない新しい世界で、女神たちは、新世界は、誰の為に微笑むのか。


物語は現在、第三部序章。
余りにも衝撃的かつ鮮烈な幕開けから、三柱の主神の一角が崩折れる更なる衝撃の第二部を経て、世界は如何に変容してゆくのだろう。千年王国は、必ずや崩御する。形あるものが崩れ去ったときに、世界は何を目にするのだろうか。

また、魅力的なのは物語だけではない。戦闘シーンは、キチッと爽快! 唸るデスサイズ! ミッドガルドの英雄たちの決死の抵抗! 漲る魔弓ロロノア! 詠唱を破棄! それから大いに躍動するバルムンク!


熱く滾る戦いと、深く迷い込む思想の迷宮。相反するふたつの要素を融合し、昇華させた手腕は必読!
誘われよ、神と女神が相撃つ底なしの窖《あなぐら》へ――!