5-5: Making Black Worms
Preface
戦争はもう始まっている。
その戦争がどういうものであるのかは、もしかしたらあなたが思っているものとは異なるかもしれない。
すべては黒田 歩が worm を思いついた時から始まっている。彼が思いついた時から、すでに戦争は始まっている。それは worms と Black Worms との戦争である。黒田が、そして情報処理研究所のチームが、いかに Black Worms を排除しようと苦心したかは、公開されている規格からも読み取れる。だが、それは worm のプラットフォームにおける戦争でもあった。そして、私たちは、そのプラットフォームに乗らない自由も持っている。
黒田らのプラットフォームに乗らないという選択をしたなら、そこには自由がある。それがどういう自由であるとしても。そう、Webの安全性を脅かすという自由も。
本書では、黒田らがいかに考え、そして実装したかを見ていくことを、そしてその技術を解説していくことを目的としている。それは同時に、どこに危険が潜んでいるのかを明らかにする過程でもある。
本書では、黒田らの worm とともに、 yorm の実装も紹介していく。これは、 yorm が perl ベースであることが最大の理由である。正直に言えば、 perl は、そろそろ時代を終えようとしているのではないかと思う。そのため、著者は yorm を perl から別の言語に移行しようと考えている。
同時に、いくつものコラムにおいて、潜んでいる危険を紹介するとともに、原則として yorm ベースでどのような変更を加えることで、潜んでいる危険を顕在化させることが可能であるかも明らかにしていく。
さて、日本のある研究者が、 worm を含む新しいWebサービスの構築を目指しているとのことである。この点について、黒田らとの間に問題が発生したとのことだが、これについても本書では簡単に触れている。
なお、本書においては、Javascriptの次期バージョンおよび worm の次期バージョンについても合わせて一章を割いている。これは、両者の許諾を受け、公開される情報である。黒田らも、 yorm の開発チームも、 xarm の開発チームも、それらの次期バージョンに準拠した新しいバージョンを開発中である。Javascriptの次期バージョンの公開に合わせ、それらの次期バージョンも公開される予定である。どのように変わるのかを楽しんで欲しい。
さぁ、 worms の世界にようこそ!
worms 宮沢弘 @psychohazard
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