複製人格の愛

作者 宮沢弘

27

9人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

人とそれ以外の境界線とか、とても考えさせられる。

主人公みたいな「価値観の押し付け」をする人って、普通の人間でもいそうだし。
そうなると、「相手の心を理解できるか否か」というモノサシでは、人と人以外を区分けできないんじゃね? とか、いろいろ。

そんな感じで、この短編は、「知」を刺激してくる。
家族愛のところで、「情」も刺激してくる。

いい!

★★★ Excellent!!!

自分と相手、それぞれが同じ物を見ても、それをどう捉えるかは個人によって異なる、と言うのを以前別の文献で見た事があります。本人のため、良かれと思ってやった善意の行為も、別の誰かからすれば全く別のものに見えてしまう事だってざらにあるもの。それが、命にも関わる事柄だとしたら……。

この事態を引き起こしたのは、語り手が人ではなく「ヒト」だったからなのか、それとも……。
何度も読む中で様々な視点が見えてくる、根幹を突くように強烈な印象を残してくれる、短編作品です。

★★★ Excellent!!!

短い物語の中に、人間というものの本質を詰め込もうとした作品と読んだ。

准教授とのやり取り問答を通じて、人間の行き違いや好意の押し付け、すれ違いや勘違いなのどの、日常にありふれる軋轢を克明を描き出していると思う。一回読んだだけでは難しく、数回読むことで見えくるものがある物語だと感じだ。スルメのような味わい深さがあると。」

おそらく、僕はまだこの作品の本質を理解しきれていないように思う。物語の主人公のように、生きてさえいなくなった時――ようやく僕も、どういうことなのかが分りはじめるように思う。

★★★ Excellent!!!

何事も決めつけてはいけない。
押しつけてはいけない。

もし自身のエゴ、社会のエゴを通すなら、必要十分な対話を通すべきでしょう。それが社会的に危急の事態でもないのなら尚更です。

では、本作の主人公の生き方は間違っていたのでしょうか?
私には、そうは思えません。

たとえ彩りだったとしても、その場その場で彼は妻と娘を案じ、そして今も想っている。私は、きっと二人は彼のために泣いたのだろうと思います。

人は、最後の問いかけほど複雑でもなく、より単純な生き物でしょうから。

★★★ Excellent!!!

これが四つのお題から作られているなど、私にはとても信じられない。
心の底からそう思えるほどに、この作品は人間について物語っている。或いは、問いかけている。

こんなことを書けば、なにを解った気になっているのかと思われるかもしれない。それでも書かずにはいられない。

文学とは、対話だ。内的なものの表現だ。
なにを思い、なにを思わなかったかを表すこと、それを文字で記すことの一つの極点が小説というものだ。
これは、行きついている。
おそらく、いまの時代でこれ以上の問いかけはないだろう。生きるとは、人間とは、そもそもヒトとは、なにか。
この物語を読んだ時、私たちは否応がなく、考えさせられる……

一切の誇張、虚飾なく傑作!