ヒトのなんたるかについて問う、驚くべき、そして恐るべき傑作。

これが四つのお題から作られているなど、私にはとても信じられない。
心の底からそう思えるほどに、この作品は人間について物語っている。或いは、問いかけている。

こんなことを書けば、なにを解った気になっているのかと思われるかもしれない。それでも書かずにはいられない。

文学とは、対話だ。内的なものの表現だ。
なにを思い、なにを思わなかったかを表すこと、それを文字で記すことの一つの極点が小説というものだ。
これは、行きついている。
おそらく、いまの時代でこれ以上の問いかけはないだろう。生きるとは、人間とは、そもそもヒトとは、なにか。
この物語を読んだ時、私たちは否応がなく、考えさせられる……

一切の誇張、虚飾なく傑作!

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