26サイ.2
『え?何?』
電話で好きなアーティストの話をしていた私に突然マサユキは
『別れよう』
一言だけ言って黙ってしまった
あぁ。やっぱり意味がわからない。
生きていた時はパニックになり、理由を問い詰めた。
マサユキは『もう無理だ』の一点張りだった
『わかった。もう無理なんでしょ?』
死んだ私は冷静だった。
『。。。。随分あっさりしてるんだね』
『マサユキがそう決めたんでしょ?私が何を言って もどうしようもないじゃない』
『そうだけど。。。理由とか聞かないんだ』
『どうせ他の女。。』
『違う!!』
話を遮ったマサユキの声は、少し震えて、怒っているような泣いているような
生きている時には聞いた事がない声だった
『俺、他に女なんかいないよ
最後まで信じてないみたいだけど
本当に好きだった!結婚も考えてた!
でも信じてもらえなかった。。。』
初めての会話。
自分で別れを告げておいて何を今更。。。
『でも別れるんでしょ?
私から離れる事には違いないじゃない。
結局マサユキの[好き]はその程度なのよ』
『お前、何でそんなに俺を信じないんだよ。
俺が何をしたって言うんだよ。
俺もう疲れたよ』
プツン
電話が切れた
と、同時に私はまた浴槽の傍らにいた。
目の前には私の死体とまぬけなドット文字
『なんだったのよ。。』
どっと疲れが押し寄せ
浴槽の縁に腰掛けた
『結果は同じって事でしょ?』
呟きながら違和感が残る
最後の会話は初めての事だらけだった。
『マサユキ。。。。泣いてた?』
あんなに声を荒げたマサユキは見た事がなかった。
ケンカをしても喚き散らすのは私の方で、マサユキはいつも優しかった
『なんなのよ。。。コレ。。。。』
目の前に落ちているドット文字を見つめながら
意図のわからない問いかけにイラついた
泣いて問い詰めようが、クールに別れを認めようが
結果は同じなんでしょ?
ため息をついて『23サイ』をタッチした。
もう一つ見てみるか。。
[untitled] ニコ @nico6_6
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