26サイ.1
『ここでいい??』
『うん。お腹空いた』
助手席から降りる
看板に竹をあしらった和風モダンなお店
創作料理とカクテルが美味しいお店
あれ?
確か私
死んだはず。。。。
『どした? 違う店がよかった?』
顔を覗き込んで心配そうにしてる
マサユキ。。。。
半年前
初めてのデートはクリスマスだった
着なれないワンピースを選んだのは、少し浮かれていたからかもしれない。
付き合って半年
相変わらずマサユキは優しい
『ううん。ここのペペロンチーノ食べたかったの』
店に入ってすぐの個室に入る
いつもの席
いつものメニュー
『ごめんね。仕事で遅くなって』
マサユキが悲しそうに笑う
そっか。。。
『26サイ』だ
すごく昔の事のようだけど
ついこの間の光景
いつも仕事が忙しいマサユキ
一週間振りに会う今日も遅刻をしてきた
『どうせ他に女がいるんでしょ?』
今日も言わずにはいられない
人は裏切る
男も女もウソをつく
マサユキに会えない一週間
どす黒く気持ち悪い虫がぐるぐると身体の中を這い回る
嫉妬と不安
そんな黒い気持ちと戦っている間も
マサユキはウソをつき私以外の女に愛を囁いている事にイライラする
『そんなワケないでしょ。
こんなに仕事で疲れてるのに遠いところをわざわざ会いに来てるんだよ?』
『はいはい。ありがと。ご飯食べよ。』
適当にあしらってペペロンチーノを食べる
信じたら終わりだ
裏切られた時の傷が深くなる
『ウチ、来るんでしょ?』
『あー。。。明日も早いんだよなー』
『なにそれ。一緒に居たくないわけ?』
『あのなぁ。。。そういう事じゃなくて。。。
今日も休日出勤してんの。
俺、疲れてるの。わかってよ。。。』
『わかんない。疲れてても好きだったら一緒に居たいでしょ』
マサユキは黙りこんでフォークを置いた。
ドリンクをひと口飲んで少し考える
『わかった。行こうか』
また悲しそうに笑った
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見た事のある同じ日常が数日続いたある日
マサユキが入院をした。
仕事中に骨折をしたらしい
確か退院した次の日に別れたんだっけ
そしてその日のうちに私は死んだ
もうすぐ振り出しに戻る
『そんなに毎日お見舞いに来なくて大丈夫だよ。
大した事ないんだし』
『何よ。私が来たら何か都合が悪いワケ?』
『またそういう事言う。。。仕事もあるし、来るの大変だろ?』
『別に。。好きで来てるから』
『そっか。。。ありがと』
同じ風景 同じ会話
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