湖畔の漂着物

水池亘

湖畔の漂着物

 ぬはこのあたりの湖でよく見られる。泳ぎは上手いが間抜けなのでたまにほとりに打ち上げられる。放っておくと腐る。有志のボランティアが水・土曜の朝に回収する。

 全体的にゆるい楕円形をしており、さらに右下部にも小さなまるみがある。ここを切り取り刺身にして食べるとほどよい甘味があって美味い。残りは硬くて人間には食べられないので湖に逃がす。

 まるみを切られたぬはめとよく似ているが全く別の科の生き物である。素人には区別がつかず本人たちにも見分けがつかないのでしばしば生殖活動をしている。遺伝子の関係から子の大半は死滅する。まれに成長しのとなる。のは幸運の象徴としてアクアリストに人気があり高値で売れる。なお生態系の維持の観点からあを湖に放出することは固く禁じられている。

 近年ぬを町おこしに利用する動きがあり、ぬいぐるみやストラップが販売されている。人気はなく、たまに湖のほとりに捨てられている。有志のボランティアが水・土曜の朝に回収する。

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湖畔の漂着物 水池亘 @mizuikewataru

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