【藍悠高等学校 ナゾトキ同好会シリーズ】ユリの少女

葱瀞(ねぎとろ)

プロローグ ‐開演5分前‐

私は舞台の上にいた。

いつもは施錠されているはずの体育館の幕の閉まったステージの裏。真っ暗の舞台の中に一つだけついたスポットライト。私はそのスポットの中に惹かれるように入った。


「やぁ、来たね。」


そこには暗闇に溶け込むように鷹がいた。


「私はあなたのことを知っている」


私はスポットライトで照らされた閉ざされた場所で言った。


「あなたは…?」


鷹は羽を広げた


「あなたと私は似ている。しがらみの中でもがき、苦しんでいる。」


鷹は羽を閉じた


「でも、あなたは悪役にならなければならない。」

「なぜ?」

「…あの子を…育てるために…」


私は鷹の言うことが分からなかったが、不思議と理不尽とは感じなかった。

自分の中の色んなしがらみや闇をそれで全て投げ捨てられるのなら、それで罪を禊げるのなら、私は喜んで悪役になろう。たまにはそれも悪くない。

でも、一つだけ私は気になった。私は鷹に聞いた。


「私はこのスポットライトから抜け出して…飛んでいける…?」

「そうなるかそうならないかは…あなた次第だ…」


「犯人はあなたですね…?」


私は2ヶ月後に悪役としてこの舞台に立っていた。

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【藍悠高等学校 ナゾトキ同好会シリーズ】ユリの少女 葱瀞(ねぎとろ) @wasabi080

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